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モバイルWiMAXと次世代携帯電話 [その他テクノロジー]

2007年5月15日、総務省は外出先や移動中でも高速インターネット接続が可能な次世代高速無線通信の免許を最大2社に割り当てる方針を発表した(報道資料)。その意図は、無線通信サービス分野への新規参入の促進と地域間の通信環境格差の是正のようだ(関連記事)。この2社の割当枠をめぐり、NTT ドコモ+アッカ、KDDI+京セラ、ソフトバンク+イー・アクセス、ウィルコムの4陣営が凌ぎを削って今日に至る。



でも、この話、なんだかどうもよくわからない。なぜわからないかというと、



①新規参入が促進されるわけではなさそう



4陣営はどれも携帯電話事業者が中心になっているようだ。結果的に新規参入というよりは、既存事業者の勢力争いの具に使われるように見える。



②次世代高速無線通信って必要なの?



FOMAでも移動中の通信は可能だが、データ通信速度はKbpsの世界だ。3.5Gとも言われるドコモのHSDPAになると14Mbpsでデータ通信出来るようだ。一方のモバイルWiMAXは数十Mbpsが出るという。確かにモバイルWiMAXは速いが、桁違いに速いというほどでもなさそうで、「次世代」とはいうよりは「現行よりちょっといい」くらいのレベルだと感じる。このレベルであれば、「次世代高速無線通信」はあまり必要な気がしない。



憶測だが、次世代高速無線通信が必要だから導入するのではなく、2.5GHzの周波数帯に空きができたのでこれを携帯通信用に開放して負荷の分散を図るとともに、世界標準となりつつあるモバイルWiMAXを実際に運用させることで世界の技術レベルに追随しようというのが本音ではないか。確かに、国の技術力を高める意味で世界の技術レベルに追随していくことは重要だ。



③端末はどうなる



モバイルWiMAX等の次世代高速無線通信には専用の端末ができるのだろうが、利用者の使い勝手を考えると、他の通信方式との併用を考えるのが合理的ではないか。そのうち携帯電話は一台でFOMA, HSDPA, モバイルWiMAXなど複数の通信方式に対応するようになっていくような気がする。端末の開発メーカーは益々大変になりそうだ。





④さらに次世代の携帯電話はどうなる?



ちょっと前まで第4世代あるいは4Gという言葉があって100Mbps~1Gbpsを目指すとされていた(参考記事)。でも、なぜか最近はあまり聞かなくなってしまった。
現実的に考えて1Gbpsというのはとてつもなく速い。光ファイバーを使ったFTTHですら、Giga単位までは実現できていない。まして数百メートル以上の距離を無線でGiga単位の通信速度を実現するのは簡単ではないだろう。世界的に見ても4Gの共通規格が定まっているわけでもなさそうだ。次の世代の携帯電話が出てくるまでしばらく時間がかかるので、それまでの間はモバイルWiMAXで世界レベルの技術に追随し、その裏で4Gでの覇権を巡って虎視眈々と研究開発に励む、ということではないか。



モバイルWiMAXの標準化に尽力しているIntelは、モバイルWiMAXを世界標準にすべく、標準化団体に働きかけているようだ。一つの端末が世界中で使えるようになるメリットは大きく、その意味でモバイルWiMAXが世界標準として使われるようになるとユーザーにもメリットはあろう。その一方、ベンダーの視点で見るとこうした標準化の流れに乗り遅れると市場を失うことになる。



結局のところ、今回の次世代高速無線通信は、世界標準になろうとしているモバイルWiMAXに追随しようということではないかと感じている。

参考記事: インテル,モバイルWiMAXを第3,第4世代携帯の国際規格に提案


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