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今後のエネルギー政策の行方 [コラム]

東日本大震災は非常に衝撃的だった。テレビで放送される映像が信じれなかった。こんなことが起こっていいのだろうか。人間の英知というのは自然の猛威の前では全く非力なものだ。被災者の方には心よりお見舞いを申し上げたい。


福島原発の状況も気になる。関係者の命がけの行動により、事態は着実に改善の方向に向かっているように見えるが、報道を見る限り、引き続き乗り越えなければならない障害はまだまだありそうだ。危険な環境下で作業をされる方々をどのように応援したらいいかわからないが、一市民としてただひたすら彼らの成功を信じている。


ところで、今回の原発の事故により、世界中で原発の是非に関する議論が沸き起こっているのは皆様ご承知の通りだ。福島の現状を見れば、人類の英知など所詮自然の前では無力なのだから、「原発を止めろ」というのもごもっともな意見だ。しかし、原子力が日本や世界のエネルギー源としてどの程度貢献していたかを踏まえないと、そう単純に割り切れるものでもない。


資源エネルギー庁のエネルギー白書によると、日本の1次エネルギーに占める原子力の割合は10%程のようだ。新エネルギー・地熱も3%ぐらいあるという。


引用: エネルギー白書2010 (資源エネルギー庁)

(前略 )一次エネルギー国内供給に占める石油の割合は、2008年度には、41.9%と第一次オイルショック時(75.5%)から大幅に改善され、その代替として、石炭(22.8%)、天然ガス(18.6%)、原子力(10.4%)の割合が増加する等、エネルギー源の多様化が図られています。

211-3-1


上記は日本の「エネルギー」の供給源全体の話だが、電力に限ってみると原子力の貢献度は大きくて、3割くらいにも上る。


引用: 日本の発電電力の構成について (資源エネルギー庁)

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日本の全発電量の3割に上る原子力を廃止しようと思ったら、これに代わる発電手段を見つけるか、あるいは電力量を3割減らしても経済水準を維持できる社会構造・産業構造を作るかしかない


手っ取り早いのは火力発電の割合を増やすことだと思われるが、CO2削減の議論があるなかで石油や石炭を燃やす火力発電を増やすことは、地球温暖化の観点からは大いに問題だ。


ベンチャーの立場からすれば、太陽電池、風力発電など、既存のエネルギーを代替する新たなエネルギーのニーズが高まることは間違いなかろう。しかし、そうした新エネルギーの発電コストはまだまだ高く、現在の技術水準の延長では全発電力の3割を代替するなどと言うのはありえない。何か画期的なブレークスルーが必要だ。資金、人材など多くの資源を投入する必要があろう。


原子力発電をどうするか、容易には答えを見いだせそうにない。しかし東日本大震災が起きたことで、非常に大きな転換が起こるかも知れない。この未曽有の危機を乗り越え、エネルギーの新たな枠組みをいち早く実現し、日本の国力アップにつなげたいものだ。


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nobuyoshi tsuji

私たちは、海洋の波力利用の課題を解消したユニークなベンチャーです。次世代のエネルギー利用法として、「自然エネルギー貿易」という事業を計画しています。日本発の事業へともくろみ資金調達をしています。
[ジャパンプロチウム http://www.j-protium.com/]
水素を安全に利用するために、海洋の電力によって、空気からアンモニアを製造し、にがりに貯蔵して安全に消費地へ運ぶという事業です。一見旧式ですが、即効性がありますから、投資家の方は検討されてはどうでしょうか。
なお、アンモニアは、いずれ化石燃料が枯れると食糧生産ができなくなる重要な物質ですから、次世代は、大量な製造が課題です。
by nobuyoshi tsuji (2011-05-05 08:07) 

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