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サブプライムの影響: 米ベア・スターンズがわずか250億円 [経済情勢]

既にあちこちで大きく報道されているように、サブプライムの影響で経営が悪化していた米大手投資銀行のBear StearnsがJPMorgan Chaseに吸収合併されることになったようだ。株価はわずか$2ドル、総額$236m(約250億円)となる。



ちなみにBear Stearns社の総資産は3,945億ドル(約39兆円、2008年2月末)、純資産132億ドル(約1兆3千億円、同)だ。これを250億円で売ってしまうというのだから、如何に破格値かご理解いただけよう。

出典: JP Morgan buys Bear Stearns for almost nothing — to head off financial chaos (2008/3/16)

JPMorgan Chase has agreed to pay a minuscule $2 a share to buy all of Bear Stearns after that 85-year-old banking institution began reeling from the nation’s credit crisis — a shocking deal because it represents less than one-tenth of the firm’s market price on Friday.

The deal, which values the firm at a mere $236 million, is the latest clobbering of the nation’s financial system.

... The sale price of Bear Stearns is reportedly one sixth of the value of Bear’s office space in New York.

同社の株価は約1年ほど前まで150ドルほどで推移してきた(下図)。サブプライムで危機がささやかれていた2007年10月頃にも株価はまだ100ドルを上回っていた。それが、いきなり株価2ドルとわずか75分の1になってしまった格好だ。ちなみに、この$236mという金額は、同社のNewYork本社ビルの評価額の6分の1だという。



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このオークションには怖くて誰も手を出せず、ようやく捨て値でJPMorgan Chaseが手を挙げたと報道されている。帳簿に載っていない債務がそれ程巨額ということか。JPMorgan Chaseへの仲介にはFRBが深く関与しているようだが、Bear Stearnsの債務を3兆円までFRBが保証しているようだ。

As part of the JPMorgan accord announced today, the Federal Reserve has agreed to help it guarantee the Bear’s trading obligations, including fund up to $30 billion of Bear Stearns’s “less-liquid assets.”

この債務保証は、ちょうど90年代終わりに長銀が破綻してリップルウッドが買収する際、瑕疵担保条項として長銀の隠れ債務を日本政府が保証したときと同じ構図だ。後世の人はJPMorgan Chaseを「白馬の騎士」とたたえるだろうか、それともハゲタカとののしるだろうか。



今回の買収によりBear Stearns社の社員1万4千人が失業するという。三菱東京UFJフィナンシャルグループの総従業員数が3万9千人、みずほフィナンシャルグループの従業員が2万8千人余りだが、今回の救済劇により失業する人の数がいかに大きいことか。

The New York Times said Dimon made it clear that he hoped to retain the best employees at Bear, but also made it plain many of the 14,000 employees would lose their jobs if his bank completes a deal to buy Bear Stearns for $2 a share.

出典: JPMorgan aiming to keep best Bear execs: reports

今回はBear Stearnsの救済劇だったが、既に「次」を勘ぐる向きもある。

Some say Lehman Brothers and other banks are still in for more trouble, and that the crisis still has a ways to play out.

一度失われた自信は容易には回復しない。サブプライム問題の完全解消にはまだ時間がかかるかも知れない。


日本の話題が増えている [経済情勢]

米国のメディアを毎日見ていてふと気がつくことがある。最近、日本についてポジティブな話題が増えたような気がするのだ。米国に来てそんなに長いわけではないから、たとえば90年代に日本についてアメリカでどれくらい語られていたのかわからない。しかしながら、Economist、BusinessWeek、WallStreetJounalといった経済系のメディアを見ている限り、今年に入ってから日本のポジティブな話題をしばしば目にする。たとえば、今日のBusinessWeekのトップ誌面にざっと見て30ぐらいのニュースタイトルがあるが、そのうち日本に関連する話題が3つ載っている。これは多いのではないか?



こうやってしばしばメディアに取り上げられるようになると、おそらく人々の心もだんだんとなびいてくるものだ。今年、私が見ている未公開株式投資に関する限り海外投資家のマネーはほとんど動いていない。しかし来年ぐらいには海外からより多くの関心やマネーが日本に寄せられるかも知れないと考えている。


小泉総理の勝利~"Economist"的解釈 [経済情勢]

今回の衆議院選挙は日本にいなかったため投票できなかったが、大変注目していた。
日本中のメディアがこぞって特集したことだろうから今更書くことも無いが、アメリカのメディアの視点を紹介しよう。



Japan’s voters back Koizumi



Economistらしく、冒頭から郵貯民営化の財務的なインパクトを紹介している。



.... Japan Post. This giant receives subsidised postal-savings deposits and life-insurance premiums from tens of millions of Japanese citizens through its 24,700 branches, and thus controls a staggering ¥330 trillion ($3 trillion) in household financial assets. ...



日経新聞あたりを読んでいても郵貯の財務的な規模についてはあまりコメントを見た覚えがないが、「330兆円の金融資産をもつ企業」というのは実に的確に郵貯民営化のインパクトを表していると思う。



さらに、郵貯民営化により、長期的には200兆円の日本国債が売りに出され、民間企業や個人への貸付や株式、海外資産に向かうとの見解も紹介されている。
...a privatised Japan Post would sell roughly ¥200 trillion of Japanese government bonds (JGBs), as it shifted its assets towards direct loans to companies and consumers (as well as, more modestly, towards Japanese equities and foreign assets). ...



また、これに続く部分で郵貯に続く公的企業の民営化により、日本の年金問題、財政問題なども解決の糸口を見つけられようとコメント。



郵貯が保有する国債を簡単に売却できるとは思えないが、数々の難問を解決できる一つの可能性として大いに期待したい。


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