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祝! 10万アクセス [その他]

Iwaidaru 皆様のおかげをもちまして、「シリコンバレーの日々」の累計アクセス数が10万を突破しました。


ブログ開設が2005年秋でしたので、約5年半で10万の大台に到達です。ざっくり言って、年間2万アクセス、月間2千アクセス弱、毎日50~100くらいのアクセスを頂いていることになります。


これも皆様にご愛読頂いた賜物。感謝感激雨あられ、、、


最近は更新頻度が控えめでしたが、これを励みに今後も更新を続けていきたいと思います。


by キャピタリスト


TwitterにIPOは不要か [VC業界動向]

Twitter 最近、 いつでもIPOできる規模に成長した会社でありながら、なかなかIPOしない会社が目につく気がしている。Facebookしかり、Zingaしかり、、、Groupon、Nanosolar、Silver Spring Networksなどなど、ネット系、グリーン系などで目にするように思っている。いずれも既に十分な事業規模がありながら、なお急成長中の企業達だ。Twitterも注目株でありながら、なかなかIPOしない会社の一つだ。


今週、Twitterの共同創業者Biz Stone氏が語ったところによると、少なくともしばらくはIPOする気はないらしい。


引用: Twitter's Stone: no IPO or funding talks


(Reuters) - Twitter has no plans to go public any time soon and does not need additional funds because it is making money, the co-founder of the popular microblogging site said.


IPOする気はないし、当面は資金調達も不要だという。更にJPMorgan ChaseがTwitterの株式10%を4.5憶ドルで買い取りたいとオファーしているらしい。実際に売買がなされるか不明だが、Twitterの時価総額は45億ドルと評価されたことになる。


Stone also dismissed speculation that JPMorgan Chase & Co was in talks with Twitter to buy a 10 percent stake for $450 million, which would value the company at $4.5 billion.


ちなみに、Twitterは財務内容を公開していないが、eMarketerの調査によると、2010年の売り上げは45百万ドル(ほぼ広告収入か)、2011年は150百万ドルに達するかもしれないという。
PSRでいえば、2010年ベースで100倍!、2011年ベースで30倍だ。


引用: Industry tracker eMarketer said in January that Twitter likely generated an estimated $45 million from advertising in 2010 and could generate about $150 million this year. The startup does not disclose its financial information.


ちなみに、非公式な情報だが、今週、SharesPostから送られてきたNoticeによると、SharesPostの仲介により、TwitterのB優先株35,000株について34.50ドルで売買が成立したという。


SharesPostのデータを元にTwitterの発行済株数を推計すると2010年12月時点で233百万株となるが、34.50ドルの株価がついたということは、時価総額は233百万株×34.50ドル=約80億ドルと、さらに高騰したことにな。妥当な時価総額とは思えないが、それだけ人気を集めていることだろう。


こうした未公開株式の売買事例は、ベンチャー企業への投資ラウンドに多大な影響を与えていくことだろう。未公開の段階で売買できる手段が増えてきたら、株式公開の意義ってなんだっけ? ということになりかねない。情報開示が十分でない中で株を売買するわけだから、それなりにリスクも高いはずだが、急成長していることが明らかな企業の場合には、細かな情報開示がなくとも現実に売買が成立してしまうのが現実だ。


情報開示やら内部統制やら、公開企業に求められる規制は少なくないが、そんな「重たい」規制を後目に、未公開企業の株式があちこちで流通するとなれば、新興市場の位置づけやあり方が問い直されることになりかねない。アメリカにおいてすら、、、、


いわんや、日本においてをや、、、


FacebookやLinkedInに見る最近の米IPO動向 [VC業界動向]

日本の大手SNSといえばMixi、Gree、モバゲーの3社であろうが、最近は日本でもFacebookが急速に広まりつつあるように感じる。個人的にはFacebookにはあまり真面目に取り組んでいなかったが、ひょんなことから登録したFacebookから最近頻繁にメールが送られてくるのだが、そうしたメールを見ていると私の知人の多くが既にユーザになっているようだ。恐るべきは、そうした知人と私とはFacebook上では何らつながりがないにもかかわらず、何らかの情報を元にしてのことだと思うが、Facebookが私に対して「知り合いではありませんか」と問いかけてくることだ。実名公開の威力であろうか。Facebook恐るべし。


Images さて、そんなFacebookは今年1月に15億ドルの資金調達を発表して話題になった。調達額の巨大さでも注目だが、時価総額も既に驚くほど高騰している。未公開株の売買を仲介するSharespostではFacebookの時価総額は1月29日現在828億ドルを記録している。日本円にすれば約8兆円だ。未公開企業のため財務データや発行済株数などに関するデータは見当たらないが、時価総額の点でも間違いなく既に巨大企業になっていると言えるだろう。


FacebookVenture-Backed Index Value


$82.89B  +8.99%  Up_arrow_150

Facebook_chart110124Sharespost_logo_150


Linkedin_logo 一方、同じソーシャル系企業の中からIPOに向けてFilingを完了したのがLinkedInだ。ソーシャルグラフの著名企業で、経歴+人脈を可視化することでその人のバックグランドが一目でわかるようなツールを提供している。転職が盛んな欧米では大人気で、日本人ビジネスマンも多く登録している。IPOにより175百万ドルの資金調達を目指すと報道されている。


引用: FT.com : LinkedIn looks for boost with IPO

LinkedIn, the business-focused social network, has filed registration documents for an initial public offering that could raise $175m, as it seeks to take advantage of investor appetite for internet companies even before it shows sustained profitability.


注目の時価総額だが、まだFinling情報を見てないため詳細はわからないが、先のSharespostでの取引実績ではLinkedInの時価総額は$25億ドルだ(1月29日現在)。


LinkedInVenture-Backed Index Value

$2.51B  +0.00%  Neutral_arrow_150

Linkedin_chart110124Sharespost_logo_150

業績だが、先のFTの報道では2010年の売上は前年比2倍の勢いで、1-9月の9カ月で161百万ドルという。年間売上見込みを250百万ドルと見積もると、時価総額は既にPSR=10倍のレベルに達していることになる。


The LinkedIn prospectus filed on Thursday said the company’s revenue doubled in the first nine months of 2010 from the same period a year earlier, to $161m, though it expects that rate of increase to slow.

一方の利益は9カ月で1.9百万ドル。仮に年間2.5百万ドルとすると、PER=100倍だ。

It reported $1.9m in profit attributable to common shareholders during that period and said it did not expect to be profitable in 2011 on a GAAP basis.

LinkedInの時価総額はFacebookの30分の1以下でしかないが、それでも結構な時価総額だ。FacebookのIPOがどうなるか、しばらくはこうしたソーシャル系企業のIPOが話題を呼びそうだ。

そういえば、映画「ソーシャル・ネットワーク」はゴールデン・グローブ賞で最優秀作品賞をとり、アカデミー賞の有力候補になったとか。2011年はソーシャルの年になりそうだ。

バブルか、リアルか、、、、今年もソーシャルから目が離せない。

公開企業と未公開企業の本質的な違い [コラム]

公開企業と未公開企業の本質的な違いは何であろうか。それは、発行会社と株主との間の「情報の非対称性」が大きいか少ないか、ということなのかも知れない。


公開企業は、だれでも株式を購入できることが前提となっており、これを実現するために各種制度、たとえば会計基準が決められ、情報開示が義務付けられており、、そうした開示情報を理解したうえで誰でも(安心して)株式を売買出来るようなシステムになっているわけだ。


しかし、公開企業がIRでどれだけ細かく情報を開示したとしても、発行会社の情報をすべて開示しつくすことは出来ない。たとえば、営業の現場でどのようなことが起きているか、会社の内部にいる人(インサイダー)にはわかっているが、外にいる人(アウトサイダー)にそれらのすべてが開示されるわけでもなく、情報量に差ができてしまい、情報が非対称にならざるを得ない。だからこそ、インサイダーの株式売買は厳しく規制される。アウトサイダーは、開示される情報を元に株を買ったり売ったりするわけだが、開示情報に載っていないことは知る由もない。


一方の未公開企業は、極論すれば株主も経営陣も含めて関係者はすべてインサイダーであり、株主と経営陣との間の情報の非対称性は少ない。株主と経営者は関係が深いことが多く、特に急成長を目指すベンチャー企業では株主が積極的に経営にかかわって支援することがしばしば行われたりしており、株主と経営が部分的に同一なものと見ることが出来る。「インサイダー」というと、なんだかイメージが良くないが、難しい市場環境の中で事業を拡大させるには、株主も経営陣も一体となって総力戦で経営にあたる方が機動的に動けるものだ。


公開企業には、資金調達しやすいとか、社会的な信用がアップするとか、取引がしやすくなるとか、いろいろとメリットもある。しかし、昨今の日本の株式市場の低迷には、「日本の会社が成長するように見えない」という漠然としたイメージがあるのではないか。いくらIRで示したところで、ビジネスの現場で行われていることは伝えきれない。公開企業であるよりも未公開企業である方が機動的な経営が出来る場合もあるかも知れない。


日経ビジネスの最新号で「新興市場は壊死寸前」なんて書かれているが、場合によっては非公開化を伴う再出発のような話が増えるのが必然なのかもしれない。


電気自動車のTeslaがIPOへ、太陽電池のSolyndraは延期 [VC業界動向]


TeslaRoadster6月28日の週にTeslaがIPOする予定だ。注目ベンチャーだけにどのくらいの価格がつくか楽しみだ。



Tesla Mortorsと言えば数年前から盛り上がってきた電気自動車ブームの中心的存在で、スポーティな電気自動車が有名だ(関連記事)。最近ではトヨタ自動車が出資して話題を呼んだ。



Yahoo Financeによると、売上は111百万ドル、約100億円ちょっとあたりだ。1年間の売上成長率がプラス659%とあるから、7倍以上に膨らんだようだ。(下記参照)



出典: Yahoo Finance



Financial Highlights
Fiscal Year End: December
Revenue (2009): 111.90 M
Revenue Growth (1 yr): 659.30%
Employees (2009): 514




IPOに伴う公募予定価格は14~16ドルだという。米証券取引委員会(SEC)に開示されている資料によれば、発行済株式数は普通株が約60百万株、優先株(AからEまで)が約209百万株の合計269百万株となっており、仮に公募価格を$15とすると、公募価格ベースの時価総額は約40億ドル($15×209百万株、増資前)となる。(訂正:16億ドルとの説が流れている)

売上高1億ドルに対して時価総額40億ドルとは、不景気も吹き飛ぶ高額さで非常に注目される。もちろん、今後注目される高級セダン"Model S"なども含めた業績急拡大を期待した数字であろう。この価格設定には米国内のメディアでも諸説あるところだが、今後の動向に注目したい。

ちなみに、先にリンクしたSECの情報では日本の目論見書よりも細かな情報が開示されているので雰囲気だけでも皆さんに味わって頂きたい。公開企業の情報開示に対する意識の差を感じる。

ところで、Teslaの陰で、IPOを延期した著名企業がある。太陽電池の注目ベンチャーSolyndraだ。

引用: Solyndra nixes its IPO, but brings in $175M to keep the ball rolling
 June 18, 2010 | Camille Ricketts

Solyndra, the maker of cylindrical solar cells that filed to go public late last December, has withdrawn that filing from the SEC, choosing instead to raise $175 million by selling convertible promissory notes to some of its existing investors. The news spells trouble for the rapidly growing company, and its thin-film solar peers.

Solyndraは米国期待の太陽電池モジュールのベンチャーで、円筒形の太陽電池モジュールで高効率な発電を目指している。これまで$950百万ドル(約900億円)の資金を調達し、加えて米国政府(エネルギー省)から$500百万ドル以上の債務保証も受けており、資金調達力は圧巻だ。このベンチャーがIPOを一旦キャンセル(Withdraw)し、一種の転換社債によって$175百万ドルを私募調達するという。

キャンセルの理由は不明だが、先に引用した記事によると、売上が計画($300百万ドル)を大幅に下回っているとか、エネルギー省による債務保証に義務付けられた監査において、監査人が債務について懸念を示したことなどが囁かれている。また、最近IPOしたグリーンテック系企業の株価が低迷していることも延期の理由だったようだ。

...it’s still falling far short of the $300 million it had hoped to get from its public sale.

... Both biofuel maker Codexis and Chinese solar firm Jinko Solar went public in recent months, with shares selling at the low end of their price estimates

注目のグリーンテックベンチャーと言えども、景気後退には勝てない。無理やりIPOするのではなく、機が熟すまで待つというわけだ。アメリカではIPOのキャンセル(Withdraw)は珍しくない。きちんとした数字は見てないが、IPOを申請した会社のうち、何割もの会社がWithdrawしている。柔軟と言えば柔軟だ。市場環境を見ながら、理に適わなかったら潔く撤退することが日常的に行われている。Withdrawもまた健全さの市場システムの証と見てよかろう。

TeslaとSolyndraはベンチャー企業としてはどちらも日本ではありえないぐらい大きい。如何にもアメリカ的なベンチャーのあり方であり、これがそのまま日本に馴染むかどうかはわからないが、参考にすべきところはしたいものだ。


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