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書評: インテルの戦略 [書評]







最近読んで感動した本の紹介。



下記の「インテルの戦略」は600ページの大作。1968年の創業から2005年頃のネット全盛の時代に至るまで、時代の流れに翻弄されながら、インテル内部でどのようなことが起こり、どのように判断し越えてきたのかが克明に記されている。半導体ベンチャーはもとより、技術開発ベンチャーに携わる方々にお勧めしたい一冊だ。



インテルの成功にはいくつか要因があると思うが、①技術力があったこと、②運良く高い収益性を持つ市場を見つけられたこと、③時代の変化に追随して事業内容を変えることが出来たことがあると思われる。



まず、メモリーで高い収益力を確保できたのは、創業者を中心とするメンバーの画期的なプロセス技術によるところが大きそうだ。加えて、そうした技術を使ってたまたま競争の少ない市場(EEPROMと呼ばれる種類のメモリー等)を見出すことが出来たことも大きい。



でも、個人的に最も感動を覚えるのは、時代に追随して事業内容を変えてきたことだ。インテルは70年代がメモリー、80年代にマイクロプロセッサ等のロジックIC、さらに90年代はマイクロプロセッサを高度化させてパソコン全盛時代に貢献したように、主たる事業領域を変えてきている。その中でも特にメモリーからマイクロプロセッサへの転換は事業の連続性が低く、リスクの高いものであったと推測する。



創業以来の主たる事業というものは、環境が変わったからと言ってそう簡単に捨てられるものではない。シリコンバレーを代表する成功企業であるインテルですらその判断には大いに躊躇したようで、極めて時間をかけて慎重に判断したようだ。反対意見も多かったことだろう。でも結果的には、このときの大英断のおかげで次の時代で大きく飛躍することが出来た。変革に伴う社内の動揺を抑え、新しい方向に舵を切った経営陣のあり方には敬意を覚える。



また、おもしろいことに、マイクロプロセッサを開発した当初は家庭用パソコンという市場は存在していなかったため、インテル経営陣の誰もマイクロプロセッサがパソコンで大ヒットするとは想定もしていなかったようだ。しかもマイクロプロセッサにはモトローラの68000ファミリーという強敵がいた。80年代におけるインテルのマイクロプロセッサ事業は前途多難で将来性も危うい事業だったのだ。それが、たまたまIBMが新規事業であるPCにインテルのプロセッサを採用したことかが流れが大きく変わる。IBMに採用された理由はインテルの開発ツールが充実していたからだという。大成功するためには運が必要だが、運を呼び寄せるにはそれなりの努力が必要だと言うことを感じさせる。



分厚くて電車の中で読むには少々大きいが、価値のある一冊です。


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