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[VC投資論5] バリュエーション [VC投資論]



今回のテーマはバリュエーションだ。未公開企業の価値を如何に算定し、如何にファイナンスを成功させるかだ。



このブログでは、これまでにもしばしばバリュエーションの話題を取り上げてきた。一言で言うと、「一般的なバリュエーション手法で参考値を算定し、それを元に発行会社と投資家が交渉して、最後はエイヤで決まる」というのが主旨だ。バリュエーションの方法論にご興味のある方は下記をご参照いただきたい。





今回はもう少し実践的な話をしよう。



  • 複数の投資ラウンドを行う際、各ラウンドのバリュエーションは如何にあるべきか


実際、ベンチャー企業においてこれはしばしば起こる問題だ。



起業家の立場で言えば、各ラウンドとも出来るだけ高いバリュエーションで株式を発行したいものだ。相対的に高いバリュエーションで増資する場合、相対的に高い株価で相対的に少ない株式を発行することになるわけだが、こうすることで希薄化の程度が低くなるからだ。希薄化の度合いが少なければ、創業以来持っている持ち株の薄まり度合いも少なく、経営権を確保しておきやすくなる。そんな訳で、「出来るだけ高いバリュエーションでファイナンスしよう」と考えるVBは多い。



しかし気をつけるべきは、一度高いバリュエーションで増資すると、将来再び増資によって資金調達することになったときにバリュエーションを下げにくいということだ。将来、バリュエーションを下げて(=株価を下げて)増資しようすると(これをダウンラウンドという)、既存の株主にしてみれば、手持ち株券の価値が低下することになるわけで、容易には受け入れられないものだ。株主から痛烈な批判や反対を覚悟せねばならず、ダウンラウンドに参加しない投資家が出てきたり、ダウンラウンドそのものを阻止しようとする株主が出てくることもある。ダウンラウンドになると各VCは自らのVCファンドに出資している出資者に対してダウンラウンドの事情を説明せねばならず、キャピタリストの責任問題になることもありえる。そんな訳でダウンラウンドはあちこちで紛糾の種となる。日本と諸外国でも習慣が違うようなので気をつけよう。



このようなことにならないよう、増資の際には将来の資金調達において起こりえることを想定しておくのが重要だ。現在の株主と将来の株主の満足を如何にかなえるか、このバランス取りが難しい。こうした長期的な視点に立った資金計画、資本政策を立てることが肝要だ。



さて、次回はもう少し資金調達のテクニックの話である「株券の種類やその他のテクニック 」の話をしてみたいと思う。


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