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会社が壊れる時 [VC投資論]

ベンチャーキャピタルをやっていると会社の清算に立ち会うことがある。清算というのは、取締役会決議と株主決議により会社を法的に解散し消滅させることだ。



清算の現場に立ち会うのはつらい。起業家が夢を抱いて起業し、苦労して資金や人を集め、だんだん大きくなってきたにも拘らず資金繰りに窮し、ある日突然自らの意思で会社を畳む決心をしなければならない。起業家に共鳴して集まっていた投資家や従業員や顧客(=債権者)も清算となると態度が一変し、それぞれ自分の立場から勝手なことを言い出す。こうなると起業家の夢はもうどこかに吹っ飛んでしまい、みんなどれだけ自分の取り分を確保できるかに興味が向いてしまい、殺伐としてくる。社長や会長といった中心的な立場にある人がしっかりしていればいいが、そうでないと大変だ。



こういう極限状態の中ではその人の性格が出るものだ。私がこれまで立ち会ってきたケースでは幸いにして起業家の方は最後まで冷静かつ公正であった。感情に流されること無く、粛々と利害を調整して関係者の同意を取り付け、話をまとめて行った。こういった方々は起業家である前に人として信頼できる。事業には失敗したかもしれないが、修羅場における対応振りには感動だ。不思議なものでそうした起業家の方々とは今も付き合いが続いており、その多くは今も違うベンチャー企業で活躍している。



こうした失敗が人を大きくするのかも知れない。


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