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20 worst VC investments [VC業界動向]

"20 worst VC investments of all time"というリストが発表された。Pets.com、eToys、PointCastなどは日本でも有名だった。さて、あなたはいくつご存知か。できれば原文も見てみよう。

(以下、引用)

InsideCRM has a list of what it says are the twenty worst VC investments of all time. See full details here, but here’s the quick list:

  1. Amp’d Mobile: $360 million, ended in bankruptcy.
  2. Procket: $272 million, sold for $89 million.
  3. Webvan: Valued at $1.2 billion, went bankrupt in 2001. Ate through $800 million in venture capital, ended with $830 million in losses.
  4. Caspian Networks: >$300 million in funding, closed doors.
  5. Pets.com: $50 million by Hummer Winblad Venture Partners, Bowman Capital, and Amazon.com Inc., did sock-puppet ads, then crashed.
  6. Optiva: $41.5 million in venture capital, crashed.
  7. Kozmo.com: $250 million in investment, liquidated.
  8. CueCat: $185 million from investors like The Coca-Cola Co. and General Electric Co., bombed.
  9. DeNovis Inc.: $125 million in venture capital, closed.
  10. PointCast Inc.: Tens of millions of dollars in venture capital and a $400 million buy offer, PointCast was sold for $7 million.
  11. eToys: Backed by VC firms Idealab, Highland Capital Partners LLC and Sequoia Capital Partners, ended in bankruptcy.
  12. AllAdvantage: $135 million in venture capital down the drain.
  13. FastForward: $54 million into the company, bankrupt.
  14. Xoma: This 26-year old company has not earned a profit since its inception in 1981.
  15. Flooz.com: $50 million, went broke.
  16. Vanguarde Media Inc.: $60 million in VC funding, went under.
  17. Pixelon.com: $16 million not remarkable, but burned through with remarkable style.
  18. Bolt Media Inc.: >$60 million in venture backing, shut down.
  19. DigiScents: $20 million in investment, shut down.
  20. Boo.com: $120 million, went bust.

韓国に進出する米系VC [VC業界動向]

米国系VCが中国やインドに進出しているという話はもう当たり前。でも韓国に進出したというのは珍しい。

IDG's Excellent Korean Venture

IDG Ventures, a network of venture capital funds spanning North America and Asia, is embarking on what it considers the next frontier in startup investing: South Korea. IDG Ventures has created a $100 million venture capital fund based in Seoul.

... The fund, to be formally introduced on Nov. 16, will invest in new media, mobile applications, online entertainment, health care, and software for businesses.

IDGはもちろん技術リサーチの大家。仕事柄、技術動向・市場動向に関する情報は豊富に持っているはずで、そうした動向についての独自の見解もあろう。そうしたリサーチ業の強みを有効に活用してベンチャー投資で収益を上げるというのが彼らのビジネスモデルなのだろう。そんなIDGは世界各地にファンドを作っているようだ。



しかし、米系VCが韓国国内に事務所を構えてVCファンドを運用する例は珍しい。



韓国の人たちの英語力は日本人とあまり変わらないように感じているが、米国系VCが韓国に進出したのであれば、日本に(再)進出というのもあるかもしれない。
違いがあるとしたら、日本の国内市場は多くのVBにとってそこそこ手ごろなサイズのためか、日本のVBが世界展開している例はそれ程多くないが、韓国では市場規模が日本よりも小さいであろうから、その分世界を目指す可能性が高まる。そうした世界市場を目指すVBでが多く存在するのであれば、米系VC等が進出することで、VB側にも米系VC側にもメリットがあろう。



世界は大きく動いている。日本の元気なVBには是非世界を目指してもらいたいが、同時に日本のVC業界も海外から資金を呼び寄せたり海外VCが進出したくなるぐらいの魅力的な市場を作って行けるよう努力したいものだ。


アパレルや農業への投資 [VC業界動向]



米国VCの世界でも中国やインドはしばしば話題に上るし、実際中国に進出している米国系大手VCは多い。KPCBやSequoiaもそれらの部類に含まれる。



興味深いことに、中国に進出した米国系VCは必ずしもテクノロジー系企業に絞って投資しているわけではなく、それとは関係のない、きわめて「中国らしい産業」にも投資しているらしい。たとえばこんな事例がある。

VCs in China: Kleiner’s shirt factory, Sequoia’s farm

In the latest example, we’ve learned that Kleiner Perkins, one of Silicon Valley’s most high profile venture capital firms, has joined in a $50 million investment into Yes!PPG, a shirt factory in Shanghai (merchandise to your left). Sequoia, meanwhile, has invested in a farm.

(中略)

Low-tech VC investments in China seem to be a trend. Sequoia Capital, another top Valley firm, has invested in a company called China Linong (picture from web site, below) that grows and sells high-end vegetables. The Sequoia lead on the investment, Neil Shen, told Forbes last year that his philosophy is to “stick to the four necessities: Food, clothes, housing and travel.”



KPCBはシャツの製造会社、Sequoiaは農業(高級野菜)の会社へ投資しているという。Sequoiaは衣・食・住に加えて旅行(交通?)という人間の生活にとって必須の分野に絞り込んで投資しているような雰囲気だ。米国系VCがテクノロジー系ではない企業へ投資するというのはびっくりだ。



日本のVC業界では、テクノロジーとはあまり関係のないビジネスへVCが投資するのは珍しいことではなく、むしろ広く一般的に行われていて、上記の話を聞いてもそれほど違和感ないだろう。新興市場に公開してくるベンチャー企業を見ても、飲食、不動産などのサービス関係の会社がしばしば見受けられる。



しかし、米国ではベンチャー投資といえばほぼテクノロジー企業へ投資することを意味する。たとえばVentureOne等の統計を見ると、テクノロジー系ではない企業への投資はそれほど多くない。2006年に米国で行われたVC投資件数2,549件のうち、"Business/Consumer/Retail"分野への投資件数は275件と全体の約1割余りにとどまる。しかも、そのうちの大半はメディアやコンテンツ業で、ある意味ネットなどのIT系に関連してくるので、これを除くと100件に満たない(以上、VentureOne調べ)。「テクノロジー系でないベンチャー企業」の定義によるが、VC業界全体の1割以下と見て良さそうだ。



さらに、KPCBを中心とするTop TierのVCはそうしたテクノロジー系ベンチャーへ投資し成功してきたことで名を成してきた。Genentech, Sun, Netscape, Amazon, GoogleなどはみなKPCBが投資・支援し、新しい分野を切り開いてきた企業だ。



そうやって新しい世界を作ってきたKPCBやSequoiaの新たな取り組みはいろいろな意味で注目される。世界的にVC業界を取り巻く環境が変わりつつあるということの証左かもしれない。


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VC淘汰の時代 [VC業界動向]

「アクティブなVCの数は6年間で半減してしまった」



こんなセンセーショナルなコメントを米国VCのOVPが掲載している。原文から一部引用させてもらうことにしよう。

In 2000, there were 1156 different venture firms that made at least one new deal. In 2006, there were only 597. This is more like a 50% drop, not just 15%! We think that is the big, so far unwritten, story. The US venture industry has been cut in half. That certainly qualifies as a major shake-out.

2000年には1,156のVCが年間に少なくとも1件以上の投資を行っていたが、2006年にはこれが597まで減ってしまった。投資を続けるアクティブなVCは6年間で半分になってしまったわけだ。



There is one more piece of data we found interesting, and here we and the NVCA are completely in synch. The average size of the most recent fund raised by the venture funds in 2006 was exactly double that of 2000. The 2000 funds came in about $100M, while the 2006 funds were at $200M.

もう一つ注目すべきデータは「ファンドの大きさ」で、2006年に設立されたVCファンドの平均資金量はUS$200百万ドルで、2000年の平均であるUS$100百万ドルの2倍だという。

So, how does this square with the well-reported shrinking of venture funds from the bubble vintage? The story is: Those mega funds were the exception, even though they were very noticeable. There were a gaggle of new funds of the bubble era under $100M. Most of them have died (see shake-out), with a few succeeding and increasing their scale. Since 2000, and particularly recently, there has been a flight to quality.





つまり、2000年頃にはUS$100百万ドル以下の小規模ファンドの設立が相次いでバブルの様相を呈したが、その多くは死に絶え、生き残ったものだけが大きくなった。2000年以降、投資資金の「質への投資」が起きてきた、と結論付けている。



実際、私の身の回りでもこれと似たようはことが少なからず起きており、OVPの説は大いに頷けるところだ。



面白いのは市場の規模が2000年と2006年でほぼ同じであると推測できることだ。この6年間でアクティブに活動するVCの数は半減したが、平均的なVCファンドのサイズは倍増した。つまり、大雑把に言ってVC業界に投じられた資金量は2000年と2006年で大差ないわけだ。もちろん、市場には山や谷があって、殊に2002~2003年頃は市場が極端に冷え込み、多くのVCやVBが窮地に立たされた。そうした地獄の底を見た後で市場はようやく緩やかに回復し、2006年になってようやく2000年頃のレベルまで持ち直してきたわけだ。2006年は2000年に比べて上昇のモーメンタムがあるとは思うが、ファンド設立額で見る限り、この6年間に米国VC市場はあまり成長していない。(なお、市場の規模を見るにはファンド設立額と並んで投資実行額を比べなければならないが、ここでは割愛させていただく)



2000年からの6年間の成長は総じて限られて、つまり、米国VC業界はどうやら「成熟市場」だったようだ。経営戦略の本を紐解けば、成熟市場にあっては市場シェアをめぐって競争が激しくなり淘汰が起こるとある。まさそうした経済原理の典型のようなことが米国VC市場で起こり、アクティブなVCの数が半減し大型化したのだと考えられる。



今後、VC市場が成熟市場のままなのか、再び成長する方向に向かうのか、現時点では予断を許さない。米国を見る限り、資金はITからバイオへ、環境・エネルギーへ、そして海外へと動いている。マネーは国境や産業の壁などものともせず、より大きなリターンを求めて動くものだ。殊にダイナミックさが身上のアメリカでは、資金は今後も利益のあるところへ動いていくことだろう。VCという投資手法を取るかどうかという別の議論もあるが、リターンに見合ったリスクを積極的に取る資金は今後も存在し続けるはずだ。



翻って日本はどうだろうか。最近の日経新聞などにもあるように日本の新興市場への上場企業数は昨年を大幅に下回っているようで、「低調」という感じを拭えない。何とかここで踏ん張らねばなるまい。


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GoogleがVC投資を始めた [VC業界動向]

またまたGoogleネタで申し訳ないが、最近のGoogleはますます騒がしい。GoogleがついにVC投資を始めたようだ。



BusinessWeek誌の報道によると、Googleはスタートアップ企業に小規模投資をしたようだ。記事からいくらか引用させてもらおう。

Google's Newest Role: Venture Capitalist

... Google (GOOG) has begun making VC-style investments to the tune of about $500,000 or less in promising startups, often buying those companies afterward, according to partners at Silicon Valley VC firms who spoke on condition of anonymity.

... So far, Seedfund has taken $500,000 to $750,000 stakes in four companies, including an online news site.

上記によると、Googleはスタートアップ企業に対して50万ドルぐらいのVC投資を始めたようで、今のところオンライン・ニュース・サイトなど4社に投資したらしい。GoogleがVC投資を始めた意図については下記のようにコメントされている。

By staking startups, Google hopes to avoid paying the higher prices companies can fetch once they take funding from traditional VCs. It's possible that some of its investments are conditioned on Google having first-acquisition rights should a target opt to sell, some VCs speculate.

つまり、Googleはこれまでも多くのベンチャー企業を買収してきたわけだが、そうした企業を買収するタイミングよりも前にVCが投資していると買収価格が高くなりがちなので、そうした有望ベンチャーに対してはVCが投資するよりも早い段階でGoogleが自ら投資することで、将来会社が成長したときにはその会社を「最初に買い取ることが出来る権利」を獲得することを狙ったのではないかとの憶測が流れている。

"There are a lot of entrepreneurs who aren't making the trip to Sand Hill Road," says Ray Rothrock, managing general partner at Venrock Associates, referring to the Menlo Park (Calif.) thoroughfare that is home to many venture capital firms.

上記の「最近はサンド・ヒル・ロードに行かないベンチャー企業が多い」とのコメントはVCには深刻だ。サンド・ヒル・ロードは有力VCが軒を連ねるシリコンバレー(のVC)の中心地で、多くのベンチャー企業はここにあるVC達に自らのビジネスプランをプレゼンして回るのがある意味「常識」であったわけだが、最近はそれが常識ではなくなっているようで、VCに頼らずに自活するベンチャーが増えているとのコメントだ。実際、米国大手VCからは資金を受けたくないと宣言するシリコンバレーのベンチャー経営者に会った事がある。大手VCから相手にされないことによる負け惜しみ、と穿った見方もありえるが、どうなのだろうか。



さらに、こんなコメントもある。

A partner at another large VC firm says a tendency by corporate venture arms to buy startups not long after investing in them is "very inconsistent with the venture community's strategy" of providing guidance and making several rounds of investments over the long haul.

「コーポレートベンチャーはベンチャー企業が若いうちから買収するようになった」というコメントもあるようだ。つまり、VCが投資するよりも前にコーポレート(例えばGoogle)がベンチャー企業を買収してしまうので、VCは投資するチャンスにありつけないというわけだ。実際、このような話は去年(もっと前?)ぐらいからあった。VCは今やGoogleと競争しなければならないtと。



Googleをはじめとする米国の有望ハイテク企業がベンチャー投資やベンチャー買収を活発化しているといえるが、それがVC業界全体にどの程度のインパクトを与え得るのか、気になるところだ。Googleによる投資件数が4件であれば、それ程インパクトはないが、これが一桁大きくなると業界へのインパクトは大きいと思われる(ちなみに、米国ベンチャー企業のM&AによるEXITは年間400件程度)。今度の動向には注視が必要ということだろう。



いづれにしても、Googleの参入でVC業界は騒がしくなったと言えそうだ。


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米国サブプライム問題はVCにプラス? [VC業界動向]

最近の世界同時株価下落の発端となった米国のサブプライム問題は、VC業界にどのような影響を与えるであろうか?



最近、シリコンバレーのキャピタリストKeith Benjamin氏のエントリーがNYtimes誌のメディアに取り上げられて話題になっている。彼のエントリーを紹介させて頂こう。

I believe the current credit crunch can actually help venture returns. Why?  Because it will help build momentum for the technology IPO market, which is what really drives venture returns.  Investors have finally demonstrated a willingness to buy technology IPOs.

Benjamin氏は最近のクレジット・クランチによって投資資金がテクノロジーベンチャーのIPOに流れていると見ている。実際、最近の大型IPOであるVMwareのケースでは、8月14日に$29でIPOし、8月23日には$70.20まで上昇した。IPO市場の少なくとも一部は盛り上がっていると言えそうだ。(関連エントリー

Why do tech stocks now look better?  Because alternative investments don't look as attractive.  Investors shied away from tech stocks for years, fearing the post-bubble risks.  Leveraged investing strategies were perceived as less risky. For the last five years, I’ve watched the skyrocketing returns from hedge funds and buyout funds with jealousy, wondering if I was missing something.  I believe we have just witnessed a sharp shift in perception of the risk for those leveraged investing strategies

... I have assumed that much of the returns from hedge funds and buyout funds have often simply been a function of magnifying small fundamental returns with significant leverage.   

彼の解釈によると、テクノロジー株が好調なのは「オルタナティブ投資」の魅力が薄れたからだという。2000年のバブル崩壊後、投資家達はテクノロジー株を敬遠し、代わってリスクの少ないものにシフトしてきた。そうしてバイアウトやヘッジファンドに資金が流れていくわけだが、実際のところヘッジファンドやバイアウトファンドは大きなリターンをあげていたようだ。



ヘッジファンドやバイアウトファンドが大きなリターンを上げることが出来たのは、レバレッジを多用したからだと彼は見ている。



例えば、投資元本100に対して10の利益を上げる投資機会があったとしよう。単純に計算すれば、この投資利益率はプラス10%となる。



同じ投資機会に対して、投資元本10、借入90の資金を投下したらどうなるだろうか。借入にかかるコストを無視すれば、投資元本10で投資利益10を上げることが出来るので、投資利益率はプラス100%となる。借入を併用しない場合に比べてリターンが10倍になったわけだ。これがレバレッジの効果だ。ヘッジファンドやバイアウトはこのようなレバレッジを多用したことで儲けてきたと彼は見ている。



この投資が失敗して、投資利益10を得られるつもりが損失10になってしまった場合、レバレッジがかかっていると大変だ。先の例で言えば、投資元本の10がすべて吹き飛ぶことを意味する。

Of course, there are some great managers in each class who deliver strong fundamental returns, but that seems to have been the exception.  Less credit and/or more expensive credit will hurt these asset classes.

不確定要因が少ない場合にはレバレッジを多用することで高い利益を上げることが出来るが、不確定要因が増えてくると行き過ぎたレバレッジが如何に危険か想像できよう。最近のジレジット・クランチにはそんな背景があったのだという。



それに対して、テクノロジー株はレバレッジとは無縁だ。

Fortunately, venture is not dependent on credit. I do not see a sustained credit panic and public market meltdown.  I believe the financial markets will recover, albeit with tighter credit.  The current environment could prove ideal for venture returns.  My key assumption is that technology IPOs become more attractive as public market investors look for investment returns from growth, not leverage.

結論として、レバレッジを多用したいわゆるデリバティブ的な投資よりも、ファンダメンタルの好調な現物株に投資するいわゆるグロース投資の方が結局はリスクが少ないとしている。



この彼の議論に対して、NYtimesのMATT RICHTELはニュートラルな立場ながらいつくか懸念を表明している。



  • 機関投資家はサブプライム問題で損失を出しているので、投資余力が減るだろう。
  • VCファンドは「オルタナティブ投資」に分類されるが、このオルタナティブ投資にはサブプライム問題で損失が取りざたされているヘッジファンドも含まれる。機関投資家がオルタナティブ投資への投資に消極的になればVCファンドへの投資も絞り込まれるだろう。
  • サブプライム問題によって銀行貸出が引き締められ、資金を借りるのが難しくなろう。ハイテクベンチャーはしばしば大企業による買収によってEXITしているが、この買収資金(の一部)を担う銀行借入がタイトになることで、大企業によるベンチャー買収がやりにくくなるかも知れない。
  • サブプライム問題は住宅価格に影響するかもしれないので、ベンチャーで働く従業員の個人資産に悪影響を及ぼすかもしれない。


Benjamin氏の見解もRichtel氏の懸念もそれぞれ一理ありそうだ。



今後の方向性はまだ見えないが、「行き過ぎたものが調整される」のは市場経済の基本原理のようなもの、そうした調整の末に新しい世界が広がることを期待したい。


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バブルの気配も見えるシリコンバレー [VC業界動向]

最近、シリコンバレーのキャピタリストは多忙なようで、電話してもなかなかつかまらない。VC投資のバリュエーションは着実に増加しているようでもあり、どうやらVC投資環境は「回復基調」から「熱狂」へと変わってきている気配が見える。



”Bubbly Summer"なる言葉まで飛び出したので紹介しよう。原文はこちら

The investment pace is so hot it reminds some VCs of the 1998 and 1999 years. For entrepreneurs raising money, now is the time.

最近の投資ペースは98年、99年頃を髣髴とさせるほど盛んなようだ。盛り上がりの状況がいくつか紹介されているが、中でも下記の例が象徴的だ

Some mediocre Internet business plans not getting funded last year are now getting funded.

昨年は投資家が見つからなかったネット系のビジネスでも、今なら投資家が見つかる、という。また、盛り上がっているのはネット系や環境系だけではなさそうだ。

It’s not just the Web that’s booming. Start-ups building network infrastructure, storage, routers, chips and software are getting funded, and increasingly going public. The WSJ has a story about VCs making more money in telecommunications and data storage than Web companies.

通信関連機器、ストレージ、半導体、ソフトウェアといった情報通信関連技術にも資金が投じられているようだ。WSJ誌によるとそうした通信関連やストレージ関連の企業はウェブ系ベンチャーよりも多くの資金を集めているという。VCとしては、ここから2~3年が勝負だろう。



まもなくQ2のVC業界データが発表になるだろう。どんな結果が出ているか楽しみだ。


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ベンチャー・ローンという選択肢 [VC業界動向]

BusinessWeek誌を見ていたら、こんな記事があったので紹介しよう。



アメリカではVCがVBにローンを出すことが増えているらしい。(原文はこちら

A venture capitalist, Ed Sim of Dawntreader Ventures, argues in his blog that because venture funds are increasingly willing to extend loans along with equity capital, early-stage technology companies have an opportunity to lower their financing costs.

なかでも、Web系のVBなどが対象となっているようだ。

Of particular interest to venture lenders are Web-based companies, since they "can scale…rapidly" and thus "generate pretty nice returns" from warrants that are part of the loan package, says Sim.

その理由は、Web系VBは成長スピードが速いからだと説明されているが、それ以外にも下記のような理由があるようだ。

・The money is "relatively cheap compared to an equity financing," since entrepreneurs don't have to give up as much of their companies as they would if all the VC funds were in the form of investment capital.

・Entrepreneurs retain more flexibility for future financing options than if they accept all investment capital.

・Entrepreneurs gain a longer "runway" to hit their milestones, which improves their chances of increasing the company's valuation and reduces the cost of future investment funds. 

要約すると、①ローンの資本コストはエクイティよりも低くてお得、②将来のファイナンス上の選択肢が多い(将来増資する余地が残る)、③マイルストーン達成までの時間を稼げる、といったところのようだ。



それぞれもっともな理由だが、個人的にはさらに④エクイティファイナンスは持株構成が変わるため既存投資家の了解を取り付けるのが大変だがローンはこの点影響なし、⑤ローンに個人保証が不要で日本に比べて手軽、といった事情があるように思う。



特に、この⑤の事情は重要で、欧米で行われるベンチャー向けローンは概ね会社の資産に担保権が設定されることが多いが、日本にありがちな「個人資産への担保権設定」や「個人保証」はほとんど見られない。このあたりが起業家の意欲を促進する意味できわめて重要な気がしている。



日本でもベンチャー向け「無保証」ローンの可能性があるのかも知れない。


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AIM市場を知っていますか? [VC業界動向]

日本のマスコミにロンドン証券取引所のAIM市場が取り上げることが増えてきたようだ。日経新聞にしばしば登場するようだし、日経ビジネス6月11日号には2ページに渡って紹介されている。日本の新興市場が低迷しているようなので、新たな活路を見出そうとしているように見える。



そうしたマスコミの論調は「ロンドンのAIM市場は活況だ。日本の新興市場も見習うべきだ」、と言っているように聞こえる。実際、AIMに上場されている企業数は2004年以降急激に増えており、2006年の新規公開数は462社に登る。日本の新興市場が概ね毎年100~200社ぐらいに留まるのを見れば明らかに上場企業数は多い。見習うべきところは見習うべきだろう。ただ、そうしたいいところしか報道されてように見えるのが気になる。



個人的にはAIM市場に上場した銘柄の流動性が少ないという声を良く聞く。興味がある人はAIMの公開情報を実際に調べてみよう。AIMが出している直近のレポートを開いてみると、レポートの中盤辺りから各上場銘柄に関する実際の取引データが掲載されている。その膨大なリストのうち、試しに一番最初に掲載されている"@UK"という会社のデータを見ると、発行済株式数が約3,760万株であるのに対して2007年5月中の取引出来高は13万株となっている。1ヶ月の売買高が全株数の1%も満たない、これはどうしたことか。



ちなみに、楽天の発行済株数は1,306万株、これに対して6月19日の出来高は19万株。ざっくり言って1日で発行済株式の約1%が売買された計算だ。単純に月に換算すると、毎月20%の株式が売買されることになる。もうちょっと小さな会社の例としてミクシィを見ると、発行済株数74,600株に対して、6月19日の出来高は1,200株。こちらも一日で2%近くの株式が売買される勘定だ。もちろん人気のある銘柄もあれば人気のない銘柄もあろう。それにしても、1ヶ月の売買高が全株数の1%も満たないのでは、流動性に欠けているといわれても仕方ない。



たまたま"@UK"の例だけを取り上げたが、リストを見ていくと活発に取引されている銘柄もあればほとんど取引のない銘柄もある。要は、一概に「AIM市場は成功している」と単純にいえるものではなく、実態はもう少し「まだら模様」なわけだ。上場すればいい、上場がゴールという訳ではなく、AIM上場後も各企業には厳しい試練が待ち受けているというのがより正しい理解だと思う。



こうしたAIMの実態を踏まえて、日本の新興市場を活性化させるためには何が必要だろうか。個人的には下記の2点が重要だと考えている。



  1. 投資家の期待を裏切らない。コミットしたことは実行する。
  2. 会社の実態をより反映しやすい情報開示を行う。
  3. 新興市場銘柄を担当するアナリストを充実させ、投資家の判断を支援する。


皆さんはいかがお考えだろうか。


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静かに進むVC業界の再編 [VC業界動向]

どんな業界にも環境変化があるもので、VC業界も例外ではない。VC業界には、例えばこんな環境変化がある。



  • 市場環境の変化(投資件数・金額、出口件数・金額、等)
  • 注目市場の変化(注目技術・分野、注目地域、等)
  • プレイヤーの変化(新規参入、撤退、合併・再編、等)
  • 規制、税制の変化


これらは常に変化しており、外部に公表されている情報も限られるため、VC各社はそれぞれのネットワークを通じて情報収集し、自分が信じるところで投資事業を展開するわけだ。



ところが、現実は厳しくて常にうまくいくとは限らない。大成功を収めてどんどん大きくなるVCがいる一方で、消えていくVCも少なくない。業界で誰もが知る著名VCがある日突然活動を停止することがある。最近の例で言えば、欧州の著名VCであるApaxがVC投資をやめた例が象徴的だ(参考記事はこちら)。著名VCでなくとも、無名VCの世界ではこうしたことはもっと頻繁に起きている。勝ち負けがはっきりしており、勝ったVCは生き残ってさらなる資金を呼び込み大きくなれる、負けたところは静かに退場するしかない厳しい世界だ。


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