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縮む日本の新興市場 [VC業界動向]

東証マザーズに上場する全企業の時価総額を合わせるといくらになるかご存知であろうか?



答えは、1.8兆円(2008年6月末現在)。



ライブドア事件が起きる直前の2005年12月末のマザーズ全時価総額は7兆円あったようで、その時期に比べて約4分の1になってしまったことになる。



ちなみに日本を代表する上場企業の時価総額と比べると、りそなHD:1.8兆円、商船三井:1.7兆円、大和証券:1.3兆円、丸紅:1.3兆円となっており、マザーズ上場企業全体の時価総額は、こうした大企業1社分とほぼ同じ水準ということになる。



同じ時期の東証一部全体の時価総額は422兆円。東証マザーズの時価総額は東証一部の0.5%にも満たない計算となる。数字で見る限り、日本経済に与える影響は至極軽微ということになりそうだ。米サブプライムの影響で世界的に株式市場は冴えない展開が続いているが、マザーズは東証一部に比べて違う動きをしているようだ。



なぜこのようなことになっているのか。諸説あろうが、期待ほどには成長できない現実と、不透明なイメージを払拭できていないことによるのではないか。突き詰めればマザーズ上場企業全体への信認が問われていると思われる。



対応は難しい。新興市場らしく、しっかりと成長していく企業が増えないことにはどうにもならない。次の飛躍へ向けて足場を固めなければ回復は難しいのではないか。





  • 時価総額推移(単位:百万円)

















































































































































































































月末 東証一部 東証マザーズ
2000/3/31 446,480,767 770,211
2000/6/30 425,867,395 313,541
2000/9/29 399,327,176 449,379
2000/12/29 352,784,685 635,663
2001/3/30 342,851,534 830,256
2001/6/29 364,237,943 768,368
2001/9/28 287,018,726 542,192
2001/12/28 290,668,537 696,234
2002/3/29 299,623,522 725,757
2002/6/28 292,955,508 686,665
2002/9/30 262,497,632 558,714
2002/12/30 242,939,136 494,506
2003/3/31 228,307,326 421,793
2003/6/30 262,349,950 588,575
2003/9/30 297,698,938 904,929
2003/12/30 309,290,031 1,549,648
2004/3/31 353,067,645 2,437,421
2004/6/30 359,842,961 4,004,980
2004/9/30 334,728,565 2,896,206
2004/12/30 353,558,256 3,226,439
2005/3/31 365,533,967 3,646,592
2005/6/30 366,490,824 4,476,833
2005/9/30 435,735,912 4,204,905
2005/12/30 522,068,129 7,004,017
2006/3/31 548,191,873 5,656,649
2006/6/30 504,568,355 4,321,357
2006/9/29 510,930,660 3,896,448
2006/12/29 538,629,548 3,877,604
2007/3/30 548,786,873 3,607,592
2007/6/29 567,728,490 3,430,599
2007/9/28 516,657,674 2,818,609
2007/12/28 475,629,039 2,771,104
2008/3/31 389,305,204 2,027,422
2008/6/30 422,569,184 1,800,938

(出典: 東証


米VC業界は調整直面入りか [VC業界動向]

サブプライム問題の影響でアメリカでは金融機関の動揺がまだ収まっていない。先週もCiti Groupの赤字が報道され、インディマックのような住宅ローン会社の破綻も出てきた。Citiの赤字幅は前四半期から半減しているので収束の方向に向かっているとも考えられるが、過去1年間で570億ドル(約6兆円)もの赤字を出しているだけに事態は深刻だ。Citiの資本金は約1,445億ドル(2008年3月末、純資産は1,282億ドル)なので、資本の4分の1がサブプライムに端を発する混乱で消えた計算になる。



サブプライムは昨年の夏頃から大きな問題になったわけだが、アメリカのVC業界への影響はすぐにはやって来なかった。仮想化技術で有名なVMwareが大規模なIPOを達成するなど、サブプライムの影響は限定的とする見方もあった(参考)。しかし、それから1年近く経過して様子が変わってきたようだ。



Dow Jonesが報じたところでは2008年4-6期のVC投資額な前年同期比▲12%だという。

引用: Dow Jones: VC investments drop 12 percent from last year, fewest deals since 2005 : Venture Source, 2008年7月19日

Venture capitalists invested $6.64 billion into U.S. companies in the second quarter, or 12 percent less compared to the same period last year, according to Dow Jones.

Venture Source誌のMatt Marshall記者の見解では、2005年以来の低調さであり、このままではベンチャー企業への資金供給が細り、シリコンバレーの景気も米国の他地域と同じように弱含むかも知れないとしている。

According to Dow Jones, VCs made 602 deals in total, which is lower than any time since 2005, the first sign of a downturn in the venture capital sector. If it continues, it will mean venture-backed start-ups may have to turn frugal, shed jobs or take other moves to survive in more leaner times. The job market in Silicon Valley, until recently buoyant, may join the rest of the nation’s weakness.

詳しいことは原文を読んでいただきたいが、要約すると下記のようなことが書かれている。好調なセクターもあるが、ITの大半やライスサイエンスではやや低調なようだ。



  • ITセクターは投資件数、投資金額ともに前年同期比の4分の3にとどまり、2003年以来の低調さ
  • 情報サービスセクター(Web2.0を含む)は前年同期比20%増と好調
  • ヘルスケアは低調。件数で22%減、金額で30%減と大幅ダウン
  • 大規模ファイナンスのトップ3はすべて太陽電池企業。$100M以上のファイナンス規模。
  • レーターステージへの投資資金が増えているが、件数自体は減っている
  • 創業期ラウンドの数は減っていない


なお、同エントリーには最近のアメリカVC業界の統計データとしてNVCAによるものとDowJonesによるものそれぞれへのリンクが張られている。興味ある方はクリックしてダウンロードするといいだろう。(下記にも引用)

More Data:
–here’s the NVCA/PwC data showing breakdown by industry and stage of development: nvca-dealdoc
–here’s a regional breakdown of the deals: 2q08_usregionsrelease
–here’s a breakdown by sub-regions: 2q08_ussubregionrelease

上記は統計データによる分析だが、アメリカで投資活動を続ける知り合いの話を聞いていても目先は弱気派が多いように感じる。思えな数年前、2001年頃に弱気な空気が漂い始め、2002年は悲観論一色となり、2003年に底を打って2005年頃に回復傾向が誰の目にもはっきりするまで慎重派が大勢を占めたと思うが、今の空気はどこか2001年頃に似たような状況ではないかと考えている。


淘汰の進む米VC業界 [VC業界動向]

米国のVC業界でActiveに活動するVC数は減っているらしい。VentureSourceの報道によると、2007年に米国企業に投資したVC数は前年より約5%減ったという。WSJ誌に掲載されたエントリーを引用させてもらうと、

引用: The Incredible Shrinking Venture-Capital Industry

June 19, 2008, 9:25 am

There were 844 venture firms investing in U.S. companies last year, 40 fewer than in 2006, according to the latest data from VentureSource, a research unit of VentureWire publisher Dow Jones. That is down 30% from the bubble year of 2000, when there were nearly 1,200 active investors.

さらに、こちらがより深刻なのだが、844社のうち27%にあたる224社が新たな投資先への投資を行っていない、つまりVCとしてアクティブに活動しているとは言い難い状況にある。

The total includes a substantial number of firms–224, or 27% of the total–who didn’t back any new companies last year, an indication that the ranks of active investors will continue to thin.



上記の224社を差し引くと、米国VC業界でアクティブに活動するVC数は620社となる。2000年当時にアクティブだった投資家は1,200社あったようだから、約半分まで減ってきたことになる。



2007年の米国のVC投資額は減ってないようなので、VC数が減ってきたということは、VCの淘汰が進んで廃業に向かうVCがある一方で、生き残ったVCはより多額の投資を行っていることになる。



成熟化しつつある米国のVC市場で生き残るには、規模を追求して収益機会を増やす(VC業界において規模と収益性が相関関係にあるかは議論の余地がありそう)、他と差別化できる特徴を備える、といったものがないと難しくなっていると言えそうだ。


LinkedInのバリュエーションが$1Billion [VC業界動向]

LinkedInが増資によって資金調達したようだ。バリュエーションは何と$1 Billion、1千億円での資金調達だ。未公開企業としては破格だが、リーズナブルなのだろうか。

出典:Confirmed: LinkedIn raises funding at $1B valuation, plans to buy smaller companies before going public 2008/6/17

LinkedIn has recently raised a $53 million round of funding from all of its existing investors, along with new investor Bain Capital. The deal values the company at over $1 billion dollars, founder Reid Hoffman tells me.

LinkedInはご存知のとおりビジネスマンのコミュニティとも呼ぶべきサイトを運営している。登録者が自分の経歴等を公開し、知人と"Link"することで人脈を可視化する。知り合いの知り合い、、、をたどっていくと、非常に多くの人とつながることがわかる。最近は日本からの登録者も目立つ。

... LinkedIn, you see, is quite valuable. It has gained 23 million monthly active users, and it is making $100 million a year in revenue. The money comes in from paid subscriptions for premiums services, job listings, targeted ads, and its new corporate recruiting products.

月間23百万人のアクティブ・ユーザがいるようで、年商は$100M(約100億円)にも上る。年商の内訳は加入者からの購読料、転職情報、広告、人材紹介サービスなどのようだ。それらの内訳は不明だが、ネットベンチャーにありがちな広告収入だけに頼るビジネスモデルではなく、精度の高い情報をサイトに集めることで広告以外の収入源をいくつも確保しているところが素晴らしい。こうした多様な収入源が今回の増資のバリュエーションにも影響していると見ていいだろう。PSRは約10倍(時価総額÷売上高=1,000M÷100M=10)とやや高めだが、成長率次第ではありえない価格ではない。

It will use some of this funding to buy smaller companies that can help its users share information better — vague, I know — which may include companies building mobile applications and other services.

今回の調達資金である$23Mはネット系ベンチャーとしては巨額だ。どうやらモバイル系アプリや他のサービスを提供する企業を買収するつもりらしい。アメリカでもモバイルが注目されてきているということか。更なる成長の打ち手はモバイルらしい。



LinkedInのビジネスモデルや戦略は学ぶところが多い。日本のネット系ベンチャー関係諸氏にも是非注目していただきたいところだ。

Existing investors include Greylock Partners, Sequoia Capital, and Bessemer Ventures, that have together put a previous total of $27 million into the company.

ちなみに、既存投資家はGreylock, Sequoia, Bessemerと有名どころが多い。いくらの価格で投資したか不明だが、未実現ながら株価は既に10倍近くまでいっていることだろう。久々に景気のいい話だ。


ベンチャー投資: 有望な投資地域はどこか [VC業界動向]

DeloitteとNVCAから興味深いレポートがリリースされた。Deloitteが世界のVC約400社に対して調査し、どの国がベンチャー投資として注目されているかを発表した。

原文: VENTURE CAPITALISTS AROUND THE GLOBE IDENTIFY POCKETS OF
TECHNOLOGY INNOVATION ACCORDING TO A STUDY BY DELOITTE AND THE
NATIONAL VENTURE CAPITAL ASSOCIATION

U.S. maintains lead, but Europe Shows Strength in Life Sciences and CleanTech; Asia Shows
Strength in Information Technology

上記のレポートでは、アンケートの回答者のうち何%のVCがどの国への投資に興味を持っているかを示している。まとめると下記のようになる。例えばCleahTechでは、79%のVCが米国に注目しており、同じく43%がドイツに注目している、という意味だ。



  • CleanTech: US(79%)、Germany(43%), Japan, Brasil
  • Medical Device: US(94%), Germany(39%)
  • BioPharmaceutical: US(94%), UK(31%)
  • IT: US(71%), Japan(27%),
  • Semiconductor: US(81%), Taiwan(31%), Japan(26%), China(16%)
  • Software: US(91%), India(41%), UK(13%), Israel(12%),


こうしてみると、相変わらず米国が世界のVC投資において引き続き多くのVCから興味を引いているのが判るが、それ以外にも分野によってはドイツ、英国、台湾、日本といった地域もある。少々以外なのは中国があまり見当たらないことだ。中国はハイテク投資地域としては見なされていないのかもしれない(半導体を除く)。



日本が注目されている分野もある。ITや半導体のようだ。クリーンテックが入っているのも面白い。ITでは特にテレコム分野では世界でもっとも先進的だとレポートされている。日本のGDPはアメリカの約半分。もっと地位を向上させたいものだ。



ところで、同記事についてVentureBeat誌でエントリーがあるが、この記事に興味深いチャートが掲載されている。

出典: Survey of VCs shows which regions have best technology















Investingabroad タイトルは「国外に投資したVCの比率」とある。まとめるとこんな感じだ。



  • 国外比率を増やした国: アメリカ、欧州(英国以外)、イスラエル
  • 国外比率が減った国: 英国、アジア太平洋地域


今は、英国とアジア太平洋地域が注目されいると読める。アジア太平洋地域に日本も含まれていて欲しいものだ。


米VCファンドのパフォーマンスは悪くないが、、、 [VC業界動向]

Thomsonから2007年の米VCファンドのパフォーマンス指標が発表になった。上場市場よりも高いパフォーマンスを示している。だが、残念なことに低下傾向にあるようだ。

Venture capital firms produce positive returns, but they are weakening

Venture capital firms have produced returns that exceed market averages, with late-stage venture capital firms doing especially well.

Thomson08_2

Firms investing in later-stage companies have done well in part because of the solid IPO and merger and acquisition market over the past few years, though that is changing.

最近1年間のパフォーマンスで見ると、レーターステージVC投資が高いパフォーマンスを示している。IPO市場やM&A市場が(まだ)堅調だったことによる。

Not evident at first glance, however, is that one year returns through the fourth quarter actually declined from previous increases. Venture capital firms saw a 8.9 point decrease in their one-year performance to 19.5 percent, from a 28.4 increase experienced in the year through the third quarter 2007.



しかしながら、状況は急速に悪くなっているようだ。1年のVCファンド全体のパフォーマンスは2007年Q3では28.4%だったようで、それが2007年Q4時点で19.5%まで減少している。



今後はどうか。過去のQ1におけるIPO数を比較すると2008年の出足は残念ながら低調だ。(下表参照、出典



















































Summary IPO Data
  1Q 2004 1Q 2005 1Q 2006 1Q 2007 1Q 2008
No. Deals 32 36 43 53 22
Total Proceeds (billions) $7.20 $9.30 $8.90 $9.80 $22.20
Average Deal Size (millions) $224 $260 $206 $186 $1,010



IPOよりも高頻度の出口手段であるM&Aの動向も気になるところだ。サブ・プライムの影響で借入金を使ったM&Aが成立しにくくなったという説も聞く。2008年は試練かも知れない。


業績好調な米バイアウト、控えめな米VC [VC業界動向]

今年は年明け早々から世界中の株式市場が大荒れとなっているが、2007年の実績を見る限りアメリカの株式・債券・商品市場は悪くない。NACUBO: National Association of College and University Business Officers によるレポートを見てみよう。

Universities do well with private equity investments, merely ok with VC

(オリジナルはこちらの5ページ目)

Private equity firms yielded some of the best returns for the nation’s university endowments last year, but venture capital firms did only so-so, reflecting what most people already know about 2007: It was great for private equity, but hard for venture capitalists.

Tablereturnsそれによると米国内の資産運用手段としては、Private Equity(バイアウト)ファンドがもっとも高いリターンを出したようだ。それに大してVCファンドは多少見劣りがする。



長期間にわたるファンドのリターンをどのように評価・比較するかという課題はあるが、VCファンドのリターンは全体としては際立って高いわけではないということのようだ。2006年よりは随分と良くなった点は評価してもよさそうだ。



このリストを見ていて気がつくのは、米国外(恐らくはBRIC等の新興国)の株式の運用状況がすばらしい。やはりというべきか。また、サブプライムが騒がれているようなイメージがあるが、米国上場株式はなかなかのリターンだ(日本の株式市場の低迷ぶりは本当に米国サブプライムが問題なのか?)。サブプライムなんて関係なかった2006年よりも2007年の方がパフォーマンスはいい。一方、資源関連の運用状況が控えめで、2006年からの急落ぶりが良くわかる。不動産も少々厳しい。どちらも調整局面入りということか。



上記のリストでは比較的好調な数字が並んでいるように思うが、2008年の情勢は微妙だ。株式市場が厳しい局面を迎えると、PE,VCとも運用成績は悪影響を受けざるを得ない。株が下がったら仕込み時、という事かも知れない。


2008年の注目分野 [VC業界動向]

新年、あけましておめでとうございます。皆様はどんな正月を過ごされましたでしょうか。



最近は日本もアメリカも景気の悪い話が多いですが、こういう逆境のときこそ「本物」だけが生き残る淘汰の時期、次の飛躍のときに向けてちゃくちゃくと足場を固めていきたいものです。私的にも今年は基礎固めの時期、次代を担うベンチャーの皆様との関係を更に深めていきたいと考えてます。このブログもこれまでどおり米国発の情報の他、ベンチャーキャピタリストとして感じたことなどを中心に週1~2ぐらいのペースでエントリーしていきたいと思います。今年もよろしくお願いします。



さて、今年はどんな分野が注目されるでしょうか。諸氏が諸説を展開していますが、IT系VCとしてはITの動向が気になるところ。IBM Venture CapitalのCo-FounderであるDrew Clark氏のこんなエントリーをご紹介します。(いつものように、詳細は原文を参照してください)。

VC activity in 2008

  1. Green Datacenter
  2. Alternative Energy / Cleantech
  3. Digital Convergence / Communicaions
  4. The Mobile, Wireless (and Social) Web
  5. SaaS, Web as Platform & Cloud Computing
  6. Web 2.0 Mashups & Composite Apps

1.のGreen Datacenterは日本でも重要なテーマ。例えば、"intelligent sensors and advanced analytics to monitor and improve equipment utilization"とあるが、機器の使用効率を高めるためのセンサーや分析技術が注目材料らしい。Virtulizationの進展に伴い、これからはハードウェアもますます"On Demand"化していくことだろう。



2.のAlternative Energy / Cleantechは誰に目にも明らか。原油価格もついに1バレル当たり100ドルを突破したことで、ますます重要性が増すことだろう。エネルギーを作り出す技術だけでなく、エネルギーの消費を監視・管理し、エネルギーをより効率的に使う技術も重要になりそうだ。



3.のDegital Convergence / Communitacionsは言葉としては新し目だが、言っていることは日本でよく使われる「ユビキタス」に近い。GPS付の広帯域スマートフォンといったいわゆる「4G」携帯電話をはじめ、VoIP、WiMAX、SIPといった通信技術の分野が進み、その結果、PCだけでなく各種のデジタル機器が通信回線とつながるようになるだろうと言っているようだ。



4.はWebがモバイルで使われるようになるといっているようだ。(PCの)Webで繰り広げられているSocial Communityが徐々にモバイルの分野に進出し、さらには位置情報をベースとしたサービスと結びついていくだろうとしている。これは既に日本でも顕著に見られる傾向であり、その意味で日本はやはりモバイル先進国なのだろう。PCよりもケータイが好きという世代は日本だけの傾向でなく、やがて世界中で普遍的に見られる現象になるのかもしれない。日本のベンチャーが世界で活躍できる可能性が広がるのではないか。



5.のSaaSは今でも注目材料だが、2008年はさまざまなサービスの具体化が進み、やがてデータセンターのアーキテクチャに欠くことの出来ない存在になるだろうという。かつてGrid Computingというアーキテクチャがあったが、もはや"Cloud Computing"の時代らしい。





6.のWeb2.0の流れはもはや当然。SOAもWebを取り込み、Web関連のサービスがますますEnterpriseの分野に進出することになりそうだ。



2008年も新技術の動向から目が離せない年になりそうだ。


John DoerrとHillary Clintonに見る新産業創造と政策の関係 [VC業界動向]

KPCB - Kleiner, Perkins, Caufield & ByersのJohn DoerrがHillary Clintonを支援しているらしい。どうやらアメリカ合衆国の政策に影響を与え、クリーンテックの産業育成を図っているようだ。

High-profile Silicon Valley venture capitalist John Doerr endorsed Sen. Hillary Clinton for president today.

Doerr has been influential in Democratic presidential politics for the past decade, as a supporter and key fundraiser for Bill Clinton and then Al Gore in their presidential runs. In a news release issued by the Clinton campaign, Doerr, who is a partner at Kleiner Perkins Caufield & Byers, said he and wife Ann have "respect for Hillary's forward-looking agenda in energy, innovation, health care and the economy."

DoerrはこれまでもBill ClintonやAl Goreに資金提供し、民主党の大統領選に影響を及ぼしてきたようだ。そのDoerrが今度はヒラリーを支援している。曰く、「ヒラリーはエネルギー、技術革新、ヘルスケア、経済といった分野に対して見識を持っている」と褒めているとのことだ。

Doerr,,, ,,, has lately focused on clean-tech investments.

In the statement, citing the urgency of addressing global warming and developing sound energy policies, Doerr said Clinton "will assemble a world-class team to tackle these incredibly important issues."

ここ数年、Doerrはクリーンテックへの投資に熱心だが、Doerrとヒラリーは協調して地球温暖化に対処しようとしているということだ。



アメリカ人は日本人よりも概して政治に関心が高いように思うが、今回のDoerrのように、アメリカ人は自分の事業の発展のために政治を巻き込むのが実にうまいのではないか。Doerrのような業界のカリスマが、自ら新分野に投資して業界を形成し、さらに政治を動かして国の政策としてその分野の成長を後押しさせる。VCと政策の壮大で絶妙なコンビネーションだ。アメリカのVCの底力を見る思いだ。



日本のVCが国家と協調するという話は聞いたことがないが、見習うべきは見習い、日本流のやり方を見出したいところだ。


盛り上がるCleanTechへの投資 [VC業界動向]

クリーンテックへの投資が盛り上がっている。今更驚くことは無いが、データにもはっきり現れてきた。(出典:No surprise: Record breaking investments in clean-tech, with solar leading



詳しいことは上記の原文を見ていただきたいが、要約すると下記のようなことだ。



  • 2007年第1~3四半期、米国におけるCleanTech系企業への投資額は26億ドル、前年比48%。
  • 米国CleanTech企業の平均投資額は11.4百万ドル(意外に小さい)。
  • CleanTech投資に取り組むVCとしてDFJ、KPCBといったTop Tier VCのほか、Khosla Venture等の名前も挙げられている。


このように米国クリーンテック業界へは好調な投資が続いているが、NVCAプレジデントであるMark Heesen氏は安易な投資を戒めている。

NVCA president, Mark Heesen expressed some caution, however: “As has been demonstrated in the IT and life science arenas, investing in new technologies can be fraught with pitfalls and is not for the inexperienced or the faint of heart. Prudent, long-term, knowledge based investment in cutting edge technologies has been the hallmark of venture capital in the past and should be the mantra in the cleantech space as well. Short-term ‘tourists’ should steer clear.”

「ITやライフサイエンスへの投資がそうであったように、新しい技術分野への投資は困難を伴うものなので、経験の無い人や気弱な人は辞めておいたほうがいい。分別をもって長期にわたって投資するのがVCの真骨頂であり、クリーンテックもそれに含まれる。短期的なリターンを狙う「観光客」は(参加を)慎んだほうが身のためだ。」



クリーンテックへの投資が本物か一過性のものか、今後数年は目が離せない。



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