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「0を1にする人」、「1を100にする人」 [ベンチャー一般]

先日、起業に成功した人の講演を聴く機会があり、その方が大変興味深いことを言っていた。


問い: 「0を1にする人」と「1を100にする人」はどちらが偉いか?

答え: 社会通念上はこの2つを比較することに意味はない。しかし、資本主義的には前者の方が多くの利益を享受するのが当たり前。


何もないところから会社を立ち上げる起業家は明らかに前者であり、一方、走り始めた事業をうまくマネジしながらより大きく成長させるのが得意な経営者やマネージャーなどが後者にあたる。どちらも重要な役回りであり、どっちが偉いということを比較することには意味はない。


しかし、資本主義の世界では、何もないところから事業を立ち上げた人がより多くのリターンを得られるものだという。自己資金でベンチャー企業を立ち上げて多くの株を持つ創業者の方が、後から入ってくる有能なマネージャーよりも金銭的に報われるもので、資本主義とはそれを前提としたシステムだという。


日本人的、庶民的には馴染みにくい感覚だが、資本主義とは何かを考えたとき、言われてみればそのとおりのような気もする。大きなリスクを取って起業する人は、成功したらそれだけ報われるべきだ。


閉塞感ただよう今日こそ、成功者をねたむのではなく賞賛する気運を作っていきたいものだ。


Googleの新型ストックオプション: 市場価格連動型オプション [ベンチャー一般]

Googleが新しいタイプのストックオプションを発行したらしい。「将来の株価によって行使価格を決めるオプション」だ。



従業員向けのストックオプションは、行使価格を発行する時点の株価と同程度に設定するのが通常だ。そうでない場合、つまりオプションをもらう人が市場価格よりも「有利な株価」や「不利な株価」で株式を取得できるようにすると、前者は他の一般株主が黙っていないだろうし、後者ではそもそも従業員のインセンティブづけにならない。そんなわけで、オプションの行使価格は、発行時点の時価に収斂していくものだ。



しかし、株価が下落基調にあると単純ではない。オプションをもらっても、その後株価が下落してしまうと、わざわざオプションを行使して高い価格で株を買っても損するだけ、これではインセンティブにならない。先行き株価が下落する可能性が高いのであれば、オプションを従業員に与えてみても、従業員のインセンティブ効果は薄い、ということになってしまう。低めの給与ながらオプションを与えることで従業員に一生懸命働いてもらいたいと考える企業にとって、これは大問題だ。



そんな事情があってか、Googleが行使価格を市場価格に連動させるオプションを発行したらしい。

Google offers employees with underwater options a new option
VentureBeat  2009/1/22

In its fourth quarter earnings report released today, Google announced that it would begin offering employees a one-for-one stock exchange option starting one week from today. The exchange will allow employees to trade their current stock options for options equal to the closing price per share of the stock on March 2, 2009.

それによると、Googleは1月下旬に従業員向けのストックオプションを発行するが、オプションの行使価格は3月2日の株式市場での終値にする、というものらしい。株価が軟調な時流に即したオプション政策と考えられる。



行使価格決定までの期間が1カ月である点が興味深い。「あと1カ月ぐらいは株式市場が落ち着かず下がる可能性がある」と見ているか、それ以上長い期間待つことはできない、ということか、、、



今回、Googleが市場連動型のオプションを導入したことで、従業員のインセンティブに悩む企業のオプション政策に影響を与えそうだ。



ちなみに、創業者であるSergey Brin、Larry Pageはもとより、CEOのSchmidtもこのオプションは持っていないらしい。 拍手!


2009年の注目技術 [ベンチャー一般]

すっかりご無沙汰してしまいました。



明るい話題が少ないご時世ですが、こんな時代でもベンチャーの進歩は止まらない。少々気の早い話ながら、2009年に向けて注目される技術について、目に付くところをまとめて見たい。



モバイル分野は引き続き注目度が高い。

水平分業モデルの進展: ハードウェア、ソフトウェア、サービスといったあらゆる階層で垂直統合モデルから水平分業モデルに移行する流れが加速しそう。「オープン化」、「モジュール化」が重要なキーワードとなり、これらをうまく取り入れることによって品質の確保・強化やコストダウンを実現したところが大きく飛躍するかも。

UIの改善: iPhoneのタッチスクリーンに倣った携帯電話がこの秋から一気に増えてきた。これを機にUser Interfaceがますます注目されそう。たとえばGoogleのVoice Searchなんて面白い。iPhoneにダウンロードして、知りたいことをiPhoneに向けてしゃべれば、その声を認識して検索結果を表示してくれる。今のところ英語専門で日本語対応してないが、Googleの技術力を持ってすれば日本語対応も時間の問題か。メール入力に親指を使う時代も早晩見られなくなるかも。
こうしたUIの改善は何もモバイルだけでなく、PCの世界にも期待したいところだ。
参考: Let there be voice! Google Voice Search for iPhone launches

パーソナライズ: ドコモの携帯ラインナップが4つに進化したように、携帯電話の世界ではますます個人の嗜好にあわせる動きが加速しそう。

ロケーション・ベース・アプリ: GPSモジュールや加速度センサー、地磁気センサーの性能向上が追い風となり、多くの携帯端末上でこれら機能の常時稼動が当たり前になりそう。アメリカではこの分野のVBが増えてきた。日本でも更に普及する可能性あるかも。
参考: Five location-based services to watch in 2009

ネット分野はCGMの次に何がくるか注目している。SNSはミクシィなど先行企業の成長にややかげりが見えており(2008年7-9月期の売上高は29億円、前年同期比19%増だが、前四半期<4-6月期>に対しては1.9%増に留まる)、更なる成長のためには違う戦略が求められそう。たとえば、Facebookのようにプラットフォーム戦略をとり、既存の顧客ベースを強みにプラットフォーム上での広告価値を高めたり収益機会を増やす取り組みなどが考えられ(実際IR資料にはそのように発表されている)、逆に言えばこうした広告価値を高めたり収益機会を増やせる機能というのは今後もニーズが高そうだ。
動画関連ビジネスもすっかり定着したが、更に飛躍するためには著作権問題は避けて通れない。2011年の地上波アナログ放送廃止に向けて、こうした問題を解決できれば更に大きなビジネスが広がるのではないか。
メタバースは今のところパッとしないが、長い目で見れば引き続き注目分野だと見ている。



エンタープライズ・コンピューティング分野では大きな流行は見出しにくい。過去数年間はコンプライアンス絡みの分野が大きなビジネス機会を提供したが、景気が弱含んでいる中では不要不急の投資は抑えられがちのため、初期コストが低くて利便性の高いものが注目されるのではないか。たとえば、Salesforceに見られるようなクラウドコンピューティングの進展はこれからも更に進むだろう。パッケージ販売に依存したソフトウェア会社は苦しくなるかも知れず、SaaS型のビジネスを検討する余地が増えるかも知れない。



、、、とここまで勝手なことを書いて見たが、皆様のご意見は如何に? コメント、トラックバックを歓迎します。



上記のほか、個人的には通信分野、半導体分野、代替エネルギー分野等に引き続き注目している。機会があればこれらについてもまとめて見たい。


生き残りを図る米ベンチャー企業 [ベンチャー一般]

最近はパっとしない話が多い。米VCの投資マインドが冷え込んでいるとか、投資件数・金額が減っているとか、そんな話が大勢を占めているように見える。あまり嬉しい内容ではない。

米VC投資マインドの冷え込み: Silicon Valley Venture Capitalists Confidence Declines to New Low

米VC投資件数・金額の落ち込み: Surprise! Venture investments falling

そんな中、今週目についた多少なりともポジティブに思える記事がこちら。20%の社員のレイオフに踏み切ったネットベンチャーの社長の談話だ。レイオフ自体は悲しいことだが、そうした対策を早めに取る企業が増えることで、これから深まりそうな不況を乗り切る準備ができつつあるように見える。

引用: Q&A with SearchMe’s Randy Adams, on making cuts and surviving 2008/10/17

... visual search engine startup SearchMe had laid off 20 percent of its workforce.

インタビューの相手は、検索エンジン会社SearchMeのCEOであるRandy Adamsだ。SearchMeは検索結果をビジュアルに表示するサービスを提供し、Googleの牙城を切り崩そうとしたようだが、レイオフにより体力を温存させる方針に出たようだ。



Adams氏は何度も起業を成功させてきた経験豊かな起業家だ。そんなAdams氏によると今回の不況は過去とは違うらしい。

In the last downturn, there was a sense of invincibility that was pervasive in the Valley. Many inexperienced people didn’t want to believe that their companies could be affected and they over time learned that they were wrong.

まず、2000年以降のネットバブル崩壊に伴う不況の頃に触れ、当時シリコンバレーでは強気のムードがあったという。多くの人(投資家や起業家のこと?)が、経済全体が不況であっても自らの事業に悪影響を及ぶとは考えていなかったという。経験が浅かったということか。しかし、結果的に彼らは自らが間違っていたことを学ぶところとなった。



実際、私の周りでも2000年のバブル崩壊以降2002年頃までは、赤字企業に対して強気一辺倒でどんどんと資金をつぎ込むVCが後を絶たなかったが、結果的にそうしたVCは深い傷を負ってしまい、ひどいところは廃業に追い込まれる例も見受けられた。

The greatest difference for startups this time is that they have the opportunity to quickly assess the state of the economy and respond by being fiscally prudent, even if that means making difficult decisions. I predict that many more companies will come through this downturn because executives will make prudent decisions in the best interests of their companies.

しかし、Adams氏によると、今回の金融危機に際し、ベンチャー企業は経済状態を冷静に見極めて慎重な対応を迅速に取る機会がまだ残されている点が前回と大きく違うという。彼は、こうした慎重な対応を取ることで多くのベンチャー企業が今回の不況を乗り切るだろうと予想している。



レイオフの話を聞くのはつらいことで、職を失った人たちの話が今後あちこちで囁かれることになろうが、多くの企業がバタバタと潰れる事態に至るよりも、こうした企業が早く立ち直って再び雇用を増やせるほうがましだ。



前回の不況は2003年頃までだったと思うが、まだ鮮明に覚えている人も多いはずだ。人も企業も過去の教訓を活かして賢明に立ち回るしかない。


米Webベンチャーは体力勝負の時代へ [ベンチャー一般]

NingというWebベンチャーがある。アメリカで「自分だけのSNSサイト」を構築するサービスを提供している。サークル仲間、同窓生、同業者など、誰でもSNSサイトを開設できるのだ。Netscapeの創業者Marc Andreesenが共同創業したことでも知られている。



このNingが最近US$60Mを調達した。会社評価額はUS$600M(投資前)だそうだ。

Social network creator Ning raises $60M at $500M valuation

Make-your-own-social-network company Ning has raised a $60 million fourth round of funding.

Co-founder Marc Andreessen, who also founded Netscape, says the funding came at a whopping $500 million pre-money valuation. That’s almost three times the Palo Alto, Calif. startup’s $170 million valuation  back in July, when it raised a $44 million third round. Even back then, Ning was something of a poster child for huge (and, some argued, overinflated) Web 2.0 valuations. With the economic downturn, we thought the days of such valuations were over, but it looks like we were wrong.

Ningはこれまでにも多額の資金を調達していたようで、昨年7月にもUS$44Mを調達している。あわせて100億円を越える。Web2.0が騒がれだした2005年頃はWeb系ベンチャーはあまり資金を必要としなかった。概ね$2Mとか$5Mとかいうサイズの資金調達をすれば十分という会社ばかりだった気がする。そうした時代も今は昔、100億円相当もの資金調達というのは驚きだ。いったい何に使うのだろうか。

It’s not clear what Ning, which allows you to create and customize your own social network, is going to do with all this cash, since social network companies don’t usually need a lot of capital. On the other hand, its traffic has been growing like crazy — between February of 2007 and 2008, traffic increased by 4,803 percent, to 4 million visits. And Randy Befumo, research director at previous Ning investor Legg Mason Opportunity Trust, has said the company needs money to build the infrastructure for growth.

Venture Beatの記者も同じ疑問を呈している。どうやらNingはトラフィックが急増(1年間で49倍)しており、設備増強が必要になったようだと報じている。



Andreesen氏自身もこれを肯定するかのように下記のようにコメントを寄せているが、それによるとNingは今後も高い成長を維持するとともに、「核の冬」への備えのため、つまりサブプライム問題によって米国経済が冷え込んでも大丈夫な余裕資金として多めに資金調達したとしている。

We raised the money to enable us to keep scaling given our accelerating growth (over 230,000 networks on Ning now, growing at over 1,000 per day) and to make sure we have plenty of firepower to survive the oncoming nuclear winter. At current growth rates, we don’t need it to get to cash flow positive, but having lived through the last crunch, it’s good to be conservative with these things.

興味深いのは、"we don't need it to get to cash flow positive"、つまりまだキャッシュ・ポジティブな状態にするよりも、高い成長を維持していくほうが大事だと述べている点だ。アメリカのベンチャーに典型的な考え方だ。



このように米Webベンチャーの世界は、アイデアやFirst Moverであることが重要成功要因だった時代から、経営資源の規模が成功要因となる時代、つまり体力勝負の時代に移りつつあるということなのではないかと考えている。


帝国の逆襲? Microsoftが100社買収予定 [ベンチャー一般]

今週San Franciscoで開催されたWeb2.0 ConferenceでMicrosoftのCEOであるSteve Ballmerが興味深い発言をしたようだ。今後5年間にわたり、20社/年のペースで会社を買収するという。

出展: Microsoft’s Ballmer: MSFT will acquire 20 companies a year

Microsoft chief executive Steve Ballmer just said at the Web 2.0 conference here in San Francisco that the software giant will acquire 20 companies a year for the next five years, ranging from $50 million to $1 billion.

買収額のレンジが$50m~$1bというのが、1社あたりの金額か、年間の予算か、あるいは5年間の予算の合計を指すのか不詳。しかしながら、年間20社、5年間合わせて100社を買収するというのは大変興味深い。



原文でも紹介されているこのサイトに、Google, MS, Yahoo, Amazonが買収した企業が年表形式で整理されている。この年表は2000年頃からスタートしているが、右の方にドラッグして見ていくと面白い。2004~2005年頃から(公表されている)買収件数が増え、2006年頃はMicrosoftが高いペースで買収を支配し、それが2007年になるとGoogleが攻勢に出てきているのがわかる。



年表に載っている買収件数は2006年が26社、2007年8月までの8ヶ月間で20社となっている。そうした過去の買収件数と比較すると、Microsoftが目指す年間20社の買収というのはとても大きな数字に見える。ちなみに、米国における最近のIPO数は2007年1~3四半期あわせて48件(VentureOne調べ、VCが関連している会社のみ)となっており、この数字と比較しても年間20件の買収というのは大変な数だ。ベンチャー企業やVC関係者にとっては出口の選択肢が増えるので朗報と言えるだろう。投資する側としてもソフトウェアやネット業界へ投資しやすくなるというものだ。



Googleに押され気味のMicrosoftだが、これで一気に巻き返せるか、注目したいところだ。


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大型IPO: VMware [ベンチャー一般]

仮想化ソフトウェアのリーディング企業、VMwareがIPOする。US$110億ドル(約1320億円)を公募で集めるらしく、2004年のGoogle以来の大型株式公開になるとか。



VMwareは98年創業、仮想化ソフトウェアの先駆的企業として注目を集めてきた。売上高US$704百万ドル(約840億円、2006年12月)、従業員3,000人、IPO時の想定時価総額9,251百万ドル(約1兆1,000億円)というから巨大だ。最近の米国株式市場は先行き懸念される状況だが、VMwareのIPOについては市場関係者からは強気の声が聞こえる。SanJose Mercuryの記事を引用するとこんな具合だ。

Despite the turbulent financial markets, analysts said they anticipate the IPO would continue on schedule, with final pricing determined Monday and the shares released for trading as early as Tuesday. With its substantial revenue and growth, "I think VMware is exceptional," said Brenon Daly, a financial analyst at the research firm 451 Group. "I don't think it will be vulnerable".

最近の米国のハイテク投資のバリュエーションは上昇傾向、2000年前後に投資された企業がバブル崩壊の荒波を乗り越えて着実に成長し、ここに来て花開きつつある。今回のIPOが次の大きな展開への布石となることを期待したい。



VMwareは仮想化の市場を普及させるためか、自ら開発したソフトウェアを一部無償で配布している。そうやって市場の裾野を広げながら年間800億円もの売り上げを上げるのだから立派だ。VMwareの成功の軌跡は大いに研究しがいがありそうだ。





参考: 仮想化とはサーバー、ストレージなどのハードウェアの構成単位と、そのハードウェアの上で動いているソフトウェアの動作の単位を切り離して自由に管理できるようにする技術で、例えば安価なPCサーバーを大量に並べ、その上で動くソフトウェアの数(プロセス数もしくはスレッド数)をユーザーの利用状況に応じて可変できる。仮想化のメリットについては日系BPの記事が詳しいので引用させてもらおう。

 企業で仮想化ソフトを使う主なメリットは,物理的なサーバーのコスト削減である。一般にファイル・サーバーやメール・サーバー,Webサーバーなどを個別のマシンで運用している場合,効率が悪い。各サーバーには平均すると30%から40%程度の負荷しかかかっていないからだ。

 しかし,個別のマシンを1台に統合すると,サーバーのリソースを有効活用している分,特定のサーバー・アプリケーションの負荷が上がった場合に,サーバーの能力を超えてしまいやすくなる。そうなると,負荷が上がったアプリケーションを別のサーバーに移動させるなどの作業が発生してしまう。

 このようなサーバー統合のデメリットを抑えるのが,仮想化ソフトだ。仮想化ソフトには,実行中のOSとアプリケーションをそのまま他のサーバーに移動できる機能(ライブ・マイグレーション)を備えるものがある。負荷が上昇したときに,他のサーバーにOSごと移動できる。性能の異なるサーバーを複数運用している場合,その時々に「重くなる」アプリケーションを高性能なサーバーに配置し,「軽い」アプリケーションをそれ以外のサーバーに逃がすといった使い方もできる。


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Amp'd Mobileのその後 [ベンチャー一般]

先のエントリーでAmp'd Mobileの破綻を取り上げたが、どうやらAmp'd Mobileは買収されるようだ。LA Timesによると(原文

More than 100,000 customers remaining at bankrupt Amp'd Mobile Inc. have to switch to a new carrier today or face silent cellphones at midnight

United Systems Access Inc. said its Prexar Mobile unit had purchased the right to offer its monthly plans -- with no contracts -- to Amp'd Mobile's customers. It would not disclose the price, pending a Bankruptcy Court hearing today.

United Systems Accessという会社のグループ企業であるPrexar MobileがAmp'd Mobileを買うようだが、残念ながら買収価格は明らかにされていない。Amp'd Mobileには10万人の契約者がいて契約料を払ってくれている訳だから、一定の経済的価値はあったのだろう。



Amp'd Mobileの資金調達総額であるUS$360百万ドルと負債総額US$100百万ドル、あわせてUS$460百万ドルを使った企業が、今回いったいいくらで売却されたのか大変興味深いが、何しろ破産状態にあったわけだから一般には相当買い叩かれても仕方ないところだ。Amp'd Mobile関係者には申し訳ないが、買収されて再生の道に向かうことで、Amp'd Mobileの契約ユーザーはハッピー、市場も残る、ということで悪いことばかりではない。このように合従連衡を繰り返していくのがアメリカのダイナミズムの根源なのだろう。



ベンチャーによるベンチャーの企業買収は彼岸では日常茶飯事だが、日本ではまだ盛んではないような気がする。ライブドアの例のようにあまりポジティブな印象を受けないこともありそうだ。でも、ベンチャー業界がダイナミックに動き、投資、人、物・技術の流動性が高まるという意味で、日本でももっと普及する余地があるのではないか。この分野に注力する(良質な)M&A業者が増えても良さそうだ。


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有望ベンチャーの末路: Amp'd Mobile [ベンチャー一般]

Amp'd Mobile(アンプド・モバイル)という会社があった。米国モバイルエンターテイメント分野の会社で、昨年ぐらいまではシリコンバレーの年間トップ10ディールに入るくらい大規模なファイナンスを実行した、いわばベンチャーの星だった。2005年の創業以来、調達総額はUS$360百万ドル、約430億円もの資金を調達していた。RedPointといった著名なVCから出資を受け、ついこの間まで順調に成長を続けていたかに見えた。しかし、残念ながら今年6月に経営破綻し、会社更正手続きを申請したようだ。理由は「急速な成長のため、バックエンドインフラが顧客の需要に追いつかなくなった」と説明されている(関連記事)。負債総額はUS$100百万ドルという。調達総額であるUS$360百万ドルとあわせるとざっくりいってUS$500万ドル近くを使い切って破綻したことになる。600億円近くの資金をそんなに簡単に使いきれるものなのか、不可思議ではある。(関連記事



そんな中、その後の経過を知らせる記事も出てきた。Venture Beat誌によると、

Now, looking at the company’s list of assets for sale (pdf), we find the company spent its financing on things like 50” plasma displays. Its assets also include four pages worth of porno DVD titles (see pages 7 through 10).

上記のlistの部分をクリックすると、この会社の売却資産リストを見ることが出来る。大量のPC類に加えて、様々な「コンテンツ系」のもの、例えばプラズマ・テレビやらアダルト系コンテンツなど、とてもベンチャーとは思えないリッチなリストになっている。



これらリストに計上されたものは、この会社の大量の資金量からすれば微々たる物だろう。しかし、一事が万事、このリストは何事にも資金使い放題で野放図なマネジメントが行われていたことを伺わせる。もっとメリハリを付けるべきだったと思うのは私だけだろうか。他山の石とすべきだろう。


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成長率の高いソフトウェア企業トップ10 [ベンチャー一般]

IT業界は全体的に成熟しつつあると言われているようだが、そんな中でもしっかり成長している企業がいくつもある。ソフトウェア業界で成長している企業の例を紹介しよう。まずはこのサイトを見て頂きたい。

10 Fastest Growing Small Software Companies

小規模ながら売上高成長率の高いソフトウェア企業が掲載されている。どんな企業が入っているかじっくり研究してみるのもいいだろう。



ぱっと見でわかるのが、バーチカル、つまり特定業界にフォーカスした企業が多そうなこと、どちらかといえば赤字企業が多いことなどだ。詳しく見ていくと、収益が出やすい分野と出にくい分野の傾向などが見えてくるかも知れない。市場規模や競争環境の状況と収益の出やすさの関係にまで踏み込めるとさらに面白い。


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