書評: 松下幸之助氏 「社長になる人に知っておいてほしいこと」 [経営]
松下幸之助氏の金言を集めた本です。
会社経営においてしばしば発生する課題にどう対処したらいいか、経営に携わる人なら誰もが直面する課題に対して、「経営の神様」である幸之助氏の助言を仰ぐことができます。
世の中に経営指南の本は数あれど、これほどまでに説得力、わかりやすさにおいて右に出る本は少ないのでは。
昭和30年代、40年代の幸之助氏のコメントを多く集めた本ながら、驚くのはそのコメントが現在の日本においてもそのままあてはまり、まったく新鮮さを失わないこと。日本を取り巻く情勢はガラッと変わっているはずなのに、一つ一つの言葉は決して色あせない。経営に求められる根本的な思想というものはほとんど変わらないということでしょうか。
ドラッガーもいいですが、よりわかりやすくズバッとくる金言を得たいなら、是非とも読んでみたい本です。経営に携わる人や経営者の発想を会得したい人に、座右の書となることでしょう。
書評のつもりが、とてもおこがましくて評価なんてできません。ただただ「お勧め本」です。
電機業界再編: 垂直のソニー、水平のシャープ [経営]
ソニーがシャープから液晶パネルの供給を受けるようだ。伝統的に自前主義が強かった日系電機業界にあっては大胆な戦略だ。
最近のシャープは水平分業に大きく踏み出しているように見える。日経BPの記事を引用させてもらうと、
... シャープは,2007年9月20日にPDP陣営の一角であるパイオニアと業務提携および資本提携することに基本合意(Tech-On!関連記事1),12月21日には東芝との間で液晶パネルおよび半導体の相互供給において業務提携することを発表した(Tech-On!関連記事2)。2008年2月6日には,液晶パネルと共通の薄膜技術を活用できる薄膜太陽電池の分野において,東京エレクトロンと共同で製造装置開発の合弁会社を設立した(Tech-On!関連記事3)。そして2月23日,ソニーがシャープからテレビ用の液晶パネルを調達する方向で最終調整に入ったと,日本経済新聞が報じた。
このように、シャープは今回のソニーだけでなく、パイオニアや東芝など業界の他の有力企業とも提携を結ぶことで、「液晶パネルの製造」分野の規模を拡大しているようだ。この分野で業界トップの地位を獲得し維持することを狙っているのだろう。大阪・堺に液晶パネルの大規模な新工場を建設するなど、製造の力を強化するための打ち手も筋が通っている。液晶パネルと並んで太陽電池の製造の分野でもシャープは強いが、東京エレクトロンとの提携はやはり「製造」メーカーとしての地位を維持するためのものだろう。このようにシャープの戦略は、「製造」という機能を強くし、水平方向に事業規模を拡大する戦略だ。
一方、ソニーにとって「自前の工場を持つこと」と「自社ブランド製品を出荷すること」のどちらが重要かと言えば、答えは恐らく後者。日本ではソニーのブランド力が落ちている感があるが、アメリカでは引き続きソニーブランドの地位は高く、重要な経営資源だ。こうした状況では、垂直方向に注力し最終製品で勝負するのが得策で、そのためには製造能力の一部を外部に任せる道をも厭わないということなのだろう。垂直「統合」とは言いづらいから、垂直「方向」への注力というぐらいの表現が適切かもしれない。
ソニーは液晶パネルの分野で既にSamsungと組んでいるから、大きな変更ではないかもしれない。ただ、最終製品で直接競合している企業と組んだという意味ではやはり大きな決定だったと思う。
日系企業が自前主義だったのは、部品から最終製品まですべて自前で一貫して供給することが利益の拡大につながると考えられているからだと思う。実際、このモデルがうまく機能する状況もあるのだろう。しかし、競争が激しくなって利幅が薄くなると、Value Chainのどこで勝負すべきか、精度の高い戦略が求められよう。まさに液晶パネル業界は価格下落が著しい業界で、利益を確保するのが難しくなっていると言われている。そうした業界では今回の例のように業界の再編が進み、プレーヤーの寡占化が避けられないが、再編に際して垂直に注力してブランドを取るか、水平に注力して製造力を取るかで企業の明暗が分かれよう。
再編が起こりそうな業界にあってはソニーとシャープの選択はそれぞれ参考になりそうだ。ITサービス業しかり、ソフトウェア業しかり、ネット業しかり、、、である。
(後日談:2008年2月26日の日経報道によると、ソニーはシャープの工場に資金提供するらしい。両者は、より密な関係を作るということのようだ。)
参考: 垂直か水平か http://vc.typepad.jp/weblog/2006/06/post_0ed0.html
ベンチャー企業の赤字は悪か [経営]
唐突な質問だが、「ベンチャー企業の決算が赤字なのは悪いこと」だろうか。
日本では「赤字」というのはネガティブなものを連想させる。倒産とか、経営責任とか、株価下落とか、、、概して「悪いこと」というイメージがありそうだ。しかし、上場企業に対して黒字の決算を求めるのはわかるのだが、果たしてベンチャー企業を「黒字=善、赤字=悪」というような上場企業と同じような尺度で見ていいものだろうか。
アメリカのベンチャー企業の収支はごく普通に赤字である。もう少し正しく言うと、技術開発型のベンチャーはなかなか黒字にならない。損益分岐点を越えるには売上高が10億円以上必要、中には50億円以上、なんていう企業がざらだ。日本なら新興市場に公開できるぐらいになってようやく黒字化できるレベルなわけだ。
なぜそうなるかといえば、下記のような事情があるからだと思う。
- アメリカでは概ね「ベンチャー企業=技術開発型ベンチャー」。Venture One等の統計情報を見る限り、8割ぐらいが技術開発型と思われるが、このタイプの企業は創業後の数年間は製品開発のための期間としていることが多い。ターゲットとしている市場が大きいほど(世界市場を目指すなど)、あるいは扱っている技術が高度なものであるほど、製品開発に多くの経営資源(資金、人、期間)を必要とするものだ。創業後数年間は経営資源を「投資」する期間だと一般的に考えられている。この期間中の黒字はありえない。
- 黒字よりも成長を優先し、逆はありえない。成長のために必要とあれば短期的な黒字を求めることはない。投資家も最優先事項として成長を期待している。
- 融資を受けていない。事業に必要な資金(特に開発資金)はVCをはじめとする投資家が供給している。そもそも商業銀行がベンチャー企業を相手にすることはない。
- 開発費を資産計上しない。製品を開発するための費用(研究開発費)は基本的に各年度の費用として償却してしまう。開発費用を繰延資産や棚卸資産に組み込み、償却を翌年度以降に持ち越すことは稀にしか見られない。(開発費用を資産計上することで、損益計算書を「化粧」することができない)
このような事情でアメリカのベンチャー企業には「赤字=悪」という発想はまったくと言っていいほどない(もっとも、研究開発型でない事業の場合や、IPOを狙うレベルに達した企業はそれなりの利益率、つまり黒字を求められるが)。
財務諸表が黒字か赤字かという議論よりも、重視されているのは「キャッシュフロー」だ。つまり、製品の完成や運転資金にいくらの資金が必要か、手元に残っている資金はいくらか、そういったキャッシュをベースとした管理が広く普及しているように思う。黒字か赤字か、という議論よりも、バーンレート(キャッシュバーン)がどうか、という議論が多い。キャッシュの状況をみながら、事業として満足のいく成長を遂げているか、さらなる成長のためには何が必要か、そんな観点から経営が行われている。
ところが、日本ではちょっと事情が違っているようだ。日本のベンチャーのおかれた状況を上記のアメリカの事情と対比して見ると、下記のような感じになるのではないか。
- 日本では技術開発型のベンチャーが少なく、サービス業などのベンチャーが多い。創業したら初年度から売上と利益の計上を目指す企業が多い。
- 成長よりも黒字であることを優先する例がある。
- 基本的に融資を受けている。運転資金だけでなく、開発資金を融資によってまかなっている例が少なからず存在する。
- 開発費を資産計上することが普通に行われてきた(ただし、最近は会計監査の際に資産計上が認められにくくなっているようだ)。
日本のベンチャー企業にとって資金の出し手は銀行である場合が多いと思われるが、赤字決算になると銀行の担当者がやきもきする。そうした状態が長く続くようだと心証がどんどん悪くなり、最悪の場合「貸し剥がし」もありえる。ベンチャー経営者は会社の借入を社長個人が保証していることも多く、会社の経営が揺らぐようだと個人資産を失いかねない。だから銀行さんに対しては決算の状況を「良く」見せなければならない。
また、取引先と取引する際、会社の決算内容が赤字だと取引条件が悪くなる。企業同士の取引の世界では支払が取引完了後1~3ヵ月後というのが普通だが、決算内容が悪い企業は現金取引しかしてもらえないこともある。何か資材を仕入れるときに、現金で支払わないとならないわけだ。
そうした日本の事業環境を考えると、ベンチャー企業といえども黒字であることはとても大事なのだろう。
しかし、日本から世界レベルのベンチャーがなかなか出てこない背景には、言葉の問題とか市場規模の問題(日本にはそこそこの規模の市場があるので敢えて海外に打って出る必然性がない)のほかに、上記のような「黒字の呪縛」から逃れられないという現実があるのではないか。黒字であることがすべてに優先する、という考え方だ。もちろん、黒字であるのは大事なことなのだが、その結果としてベンチャー企業の成長性が犠牲になっているとしたらどうか。黒字と成長性のどちらを優先するか、ケース・バイ・ケースであってもいいのではないかと考える。
ベンチャー企業が日本の明日の活力を与えくれると考えるのであれば、そのために成長を追求する必要があるのなら、融資以外の資金調達手法が日本でもっと普及しなければならないと考えている。
ベンチャーの苦悩: アイピーモバイルの場合 [経営]
最近、通信ベンチャーであるアイピーモバイルの株式や経営体制についていつくかニュースが出ている。日本経済にとってベンチャー企業とは何か、株主とは何か、改めて考えさせるケースだ。
ご存知ない方のために報道を元に経緯を整理してみよう。
アイピーモバイルは2005年11月にイー・モバイル(イー・アクセスの子会社)やBBモバイル(ソフトバンク子会社)とともに総務省から周波数を割り当てられ,携帯電話事業への参入を認められたベンチャー企業だ。資本金は53億円。IIJ、CSK、楽天といった企業が出資しており、日本のベンチャー企業としては大きいといえよう。携帯電話事業への参入VBとして注目されていた。しかし、下記のように迷走していく。
アイピーモバイルは2GHz帯を使った携帯電話事業への参入を取りやめることを明らかにした。「アイピーモバイルが携帯参入断念・総務省,周波数再割り当てへ」との一部報道に対して事実と認め,「本格的な携帯事業参入をするには資金が不足していた」(アイピーモバイル)と参入を断念する理由を説明した。関係者によると2007年度最初の営業日である4月2日に,アイピーモバイルは総務省を訪問。この時点で2GHz帯の周波数の返上が事実上決まったという。
ベンチャー企業が携帯電話事業に参入するには、資金が不足していたようだ。この窮状を救うため、白馬の騎士が登場する。
アイピーモバイルは4月10日,携帯電話事業への参入断念を否定し,今後も事業化に向けた取り組みを続けると発表した。また,マルチメディア総合研究所の所有する全株式を森トラストが取得し,森トラストが筆頭株主となることで基本合意したと発表した。
(関連プレスリリース)
なぜ不動産業の森トラストがアイピーモバイルの株式を取得したか経緯は不詳。傘下の不動産への付加価値を期待したか、多角化を狙ったか、あるいは何か別の個人的な関係であったのか、想像の域を出ない。しかし、不動産業者が通信事業者の株式を持つのは無理があったようだ。
森トラストは7月13日,同社が保有するアイピーモバイルの全株式を米ネクストウェーブ・ワイヤレスに譲渡することで合意したと発表した。森トラストは,アイピーモバイルの発行済み株式の69.23%を保有する筆頭株主だった。
森トラストは、アイピーモバイルの株式をわずか3ヶ月で他に転売してしまったわけだ。転売先のネクストウェーブは米国の通信ベンチャー企業だという。(関連プレスリリース)
ところが、さらに話は混乱していく。アイピーモバイルの株式を買ったネクストウェーブは、クーリングオフのような契約条項を使ってこの売買契約を破棄し、白紙に戻してしまった。
ネクストウェーブは7月13日の合意事項である反対売買のオプションを行使し,本日付で森トラストに対して同条件での買い戻しを請求した。反対売買のオプションはいわゆる“クーリングオフ”のようなもので,ネクストウェーブによるアイピーモバイル買収は破談となったといえる。
(関連プレスリリース)森トラストの発表資料では,譲渡先を「杉村五男(アイピーモバイル取締役会長)他」としている。杉村氏以外の譲渡先については「杉村氏の指定する事業化の推進に積極的な関係者」(森トラスト)して,具体的な企業名,人名は公表しなかった。
企業買収の契約においてこんな「クーリングオフ」がありえるのかと疑問だ。通常の企業買収においては緻密なデューディリジェンスを経て契約を交わすもので、こんなクーリングオフなどありえない。想像だが、今回の買収契約においては契約の成立そのものを急いだのではないか。その結果、「とりあえず商品を手にとって試してみてください、気に入らなければご返送ください」という形にせざるを得なかったのではないか。
売れたと思った商品(アイピーモバイルの株)が返品されてしまい、処理に困った森トラストは、返品された株式をアイピーモバイルの経営陣に買い取ってもらうことにしたようだ。アイピーモバイル側は紛糾したようだ。
アイピーモバイル側の見解では,事の経緯は以下の通りだったという。9月19日午前に森トラストからアイピーモバイル経営陣に対し,アイピーモバイル株の買い取り要請があった。これに対し,アイピーモバイル取締役会は全会一致で否決。アイピーモバイルとしては,自社株の買い取りを行わない方針とした。しかし,杉村会長は個人的な判断で株式の買い取りを決めたという。
さらに竹内社長は杉村会長に対し,経営を混乱させた責任を取って取締役会長を辞任することを要求した。
アイピーモバイルの取締役会は(アイピーモバイルによる)自社株の買取を否決。杉村会長ら個人が森トラストから(おそらくは責任をとる形で)株式を買い取ることになったようだ。買い取り価格は不明。杉村会長は個人資産を差し出すことになったわけだ。
事態の混乱を受けて杉村会長は辞任させられたが、今後は筆頭株主として引き続き会社への影響力が残る。筆頭株主である杉村氏と、杉村氏を解任した経営陣は、今後うまく連携して窮地を脱することができるだろうか。固唾を呑んで見守るしかない。
まとめると、会社の70%近くの株券は半年足らずの間に下記のような経過をたどった。70%といえば会社のあらゆる決定を行うことができる、実質的な支配者だ。
- マルチメディア総研
- 森トラスト
- ネクストウェーブ(米)
- 森トラスト
- 個人(アイピーモバイル会長ら)
たらい回しもいいところだ。なぜこんな事になってしまったのだろうか。思いつくことを勝手な想像で書かせていただくと、こんなところではないか。
- 事業計画があまい
事業開始時にどんな事業計画を立てていたのか不明だが、結果として資金不足を招いてしまった。残念ながら結果的に計画が甘かったと言わざるを得ない。
. - 硬直的な業界構造
アイピーモバイルは他の通信事業者から回線設備を借りて通信事業を運営するMVNOだが、これにはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクといった既存事業者の協力が前提となる事業モデルだ。しかしこれら既存事業者が市場の競争激化を招く新規事業者の参入を歓迎するはずもなく、大きな抵抗勢力だった可能性がある。つまり、そもそも参入が難しい分野だったわけだ。
こうした業界構造は「良い」だろうか「悪い」だろうか。簡単には結論が出ない議論だが、総務省はアイピーモバイルのような新規業者の参入によって競争の促進を図ったわけだから、抵抗勢力にあって新規参入が阻まれたのだとすると病根は深い。同じような構図が航空業界にもありそうだ。
. - 株主のバックアップを得られない
森トラストに株券を売ったマルチメディア総研は資本金1,500万円のベンチャー企業。なぜこんな企業が資本金53億円のアイピーモバイルの筆頭株主でいられたのか不思議だが、マルチメディア総研に資金的なバックアップを期待するのは難しそうな印象を受ける。
.
通信事業は典型的な資本集約的な事業で、一般には100億円や1,000億円といった単位の設備投資が必要になる事業だ。そこに資本金数十億円で参入しようというのがそもそも甘かったと言えなくもないが、そうした可能性に挑戦して事業機会を見つけていくのがベンチャーの真骨頂。報道によって聞こえてくるアイピーモバイルの状況はなんとも残念だ。
MVNOはアメリカでも注目されていた。ヴァージングループなどが同じ形態で事業を行っており、事業化が不可能なわけではなさそうだ。しかし、先のエントリーで紹介したAmp'd mobileのような失敗例もあって、決して容易に参入できる業界というわけでもなさそうだ。生き残っているHelioも苦境が伝えられている。この業界に参入するにはソフトバンク並の企業規模とコミットメントが必要なのかもしれない(もっとも、ソフトバンクはMVNOではないが)。
正直な経営 [経営]
先日、技術系ベンチャーの経営者と話をしていて、彼の経営上のポリシーに感銘を受けた。
彼のポリシーは「実現できるものしか売らない、実現できないものは売らない」というものだ。
これは当たり前のことだ。でも、ベンチャー企業においてこれは当たり前でなく、「実現できるかどうかまだ確かではないが、なんとかなるだろうからやってしまえ」式のところが少なからずあるものだ。資金が限られているので100%の確実性は求めずに、むしろスピードを重視して100%完全ではなくとも「えいやぁ」で資金調達するなり顧客への販売を開始してしまう。これはマーケティング指向が強い考え方とでも言おうか。
タイトな資金繰りを考えると、このマーケティング指向の考え方にも一理あって、実際多くのベンチャー企業がこうした指向を少なからず持つものだ。しかし、問題も多い。技術開発が難航して事業計画全体が遅れることは良くあることで、遅れるだけならまだしも開発計画そのものを撤回・転向する例も見受けられる。マーケティング指向で事業を進めて事業が遅れたり撤回したりすれば、顧客や投資家の評判に大きな傷を付ける。成長段階の業界にあってはそんな多少の傷には目を瞑って拾ってくれる顧客もあろうが、IT業界全体が一種の成熟産業になった今、IT業界においてはこうした無茶は危険が伴う。
このようなマーケティング指向の考え方に対して、彼のポリシーはより現実主義で、地に足のついたものと言えるだろう。彼が作る事業計画は製品のポテンシャルを考えるとコンサバに感じることがあるが、すばらしいことに彼の会社はそれをほぼ計画通りに達成してきている。社員の意識も高く、いいチームとしてまとまっている。
こういう経営者とはとても安心してつきあうことが出来るものだ。
上場企業役員の給与水準 [経営]
人件費はいつも頭の痛い問題だ。
ベンチャー企業の爆発的な発展を可能にするのは働く人の夢と金ではなかろうか。ベンチャー企業で働く人には自己実現の欲求を満たしてくれる夢が絶対必要。でも夢だけで食っていける人はそう多くは無く、個人差はあるにしても「金」も原動力の一つになるものだと思う。
株主としては経営陣や従業員に一生懸命働いてもらいたいから、給与やオプションの形でインセンティブを与えようとするのだが、どのくらい渡せばどのくらい働いてくれるのか、そこのところのバランスが難しく、VCと経営陣が最も激しくやりとりしなければならないところだ。そんなやり取りに備えるため、どの規模の会社のどのポジションであれば給与水準はいくらか、大手VCであればだいたい相場観を持っているものだ。
アメリカの上場企業役員の給与水準は業績によって非常に変動幅が大きいのだが、概して言えば最低2千万円、最高10億円。これにストックオプションの行使が加わると数百億円に達する例もある。未上場企業の場合にはこれを下回るあたりか。
Chart: Compensation by company
アメリカは情報開示が進んでいるかも知れない。
上場企業役員の給与水準 [経営]
人件費はいつも頭の痛い問題だ。
ベンチャー企業の爆発的な発展を可能にするのは働く人の夢と金ではなかろうか。ベンチャー企業で働く人には自己実現の欲求を満たしてくれる夢が絶対必要。でも夢だけで食っていける人はそう多くは無く、個人差はあるにしても「金」も原動力の一つになるものだと思う。
株主としては経営陣や従業員に一生懸命働いてもらいたいから、給与やオプションの形でインセンティブを与えようとするのだが、どのくらい渡せばどのくらい働いてくれるのか、そこのところのバランスが難しく、VCと経営陣が最も激しくやりとりしなければならないところだ。そんなやり取りに備えるため、どの規模の会社のどのポジションであれば給与水準はいくらか、大手VCであればだいたい相場観を持っているものだ。
アメリカの上場企業役員の給与水準は業績によって非常に変動幅が大きいのだが、概して言えば最低2千万円、最高10億円。これにストックオプションの行使が加わると数百億円に達する例もある。未上場企業の場合にはこれを下回るあたりか。
Chart: Compensation by company
アメリカは情報開示が進んでいるかも知れない。
所有と経営の分離 [経営]
投資家をやっていて頭の痛い問題がいくつかある。「所有と経営の分離」もその一つだ。
「株式会社」というシステムは、株主が出資金を出して会社の所有者になる一方、会社の経営を経営者に委託するシステムだ。このシステムでは、経営者は所有者の信任を得られないと辞めさせられることとなるため、信任を得ようと努力せざるを得ない状態に置かれる。所有者も経営者が自分の目の見えないところで私服を肥やしていないかチェックの目を光らせることとなる。その結果、この両者の間に微妙な緊張感が生まれることとなる。
と、ここまでは教科書的な話なのだが、ベンチャー企業の場合には教科書的なことばかりを言っていられない。何しろ経営資源の乏しいベンチャー企業では慢性的な人員不足で、あちこちに目を覆いたくなるようなオペレーション上の不備があり、株主としても放っておけなくなるのだ。
さらに、株主である自分が、自分のコネで知り合いにベンチャー企業を紹介した日には、うまく仕事をしてくれるかとても心配になって電話の一つもかけたくなってしまう。そんなことを繰り返しているうちに、所有者である自分自身がいつしか経営に関与し、場合によっては重要なウェートを占めるようになってしまう。
これのどこが悪いのか?
一見、美談に聞こえるこの話は、物事が順調に進んでいる時にはとても綺麗に聞こえる。しかしながら、自分が経営に絡んでしまった会社の経営が傾き出すとややこしいことになる。何しろ、自分はその会社の所有者だから、自分で自分の首を切るわけにはいかない。まして経営陣に「あなたは所有者かも知れないけど、経営にも加担した訳だからあなたの責任でもあるでしょう」と開き直られたら目も当てられない。だからそんなことにならないよう、所有者が経営に関する場合には一線を引かざるを得ないところが出てきてしまうのだ。
ベンチャーキャピタルが投資先の企業を支援するって、口で言うほど簡単ではないのですよ。
所有と経営の分離 [経営]
投資家をやっていて頭の痛い問題がいくつかある。「所有と経営の分離」もその一つだ。
「株式会社」というシステムは、株主が出資金を出して会社の所有者になる一方、会社の経営を経営者に委託するシステムだ。このシステムでは、経営者は所有者の信任を得られないと辞めさせられることとなるため、信任を得ようと努力せざるを得ない状態に置かれる。所有者も経営者が自分の目の見えないところで私服を肥やしていないかチェックの目を光らせることとなる。その結果、この両者の間に微妙な緊張感が生まれることとなる。
と、ここまでは教科書的な話なのだが、ベンチャー企業の場合には教科書的なことばかりを言っていられない。何しろ経営資源の乏しいベンチャー企業では慢性的な人員不足で、あちこちに目を覆いたくなるようなオペレーション上の不備があり、株主としても放っておけなくなるのだ。
さらに、株主である自分が、自分のコネで知り合いにベンチャー企業を紹介した日には、うまく仕事をしてくれるかとても心配になって電話の一つもかけたくなってしまう。そんなことを繰り返しているうちに、所有者である自分自身がいつしか経営に関与し、場合によっては重要なウェートを占めるようになってしまう。
これのどこが悪いのか?
一見、美談に聞こえるこの話は、物事が順調に進んでいる時にはとても綺麗に聞こえる。しかしながら、自分が経営に絡んでしまった会社の経営が傾き出すとややこしいことになる。何しろ、自分はその会社の所有者だから、自分で自分の首を切るわけにはいかない。まして経営陣に「あなたは所有者かも知れないけど、経営にも加担した訳だからあなたの責任でもあるでしょう」と開き直られたら目も当てられない。だからそんなことにならないよう、所有者が経営に関する場合には一線を引かざるを得ないところが出てきてしまうのだ。
ベンチャーキャピタルが投資先の企業を支援するって、口で言うほど簡単ではないのですよ。
2005-08-23 14:23:00
アメリカの企業ブランド価値ランキング [経営]
Business Week誌を読んでいたら米国における企業ブランド価値ランキングが載っていたので紹介します。
ブランド価値トップはCoca Colaで$67billion。以下Microsoft, IBM, GE, Intel, Nokiaとそれらしい企業が続きます。
日系企業ではToyota:9位、Honda:19位、Sony:28位、Canon:35位、Panasonic:78位、Nissan:85位にそれぞれランクインしてます。
日本人としては、Toyotaの9位がMercedes-Benzの11位、BMWの16位よりも高くて素直に嬉しいです。でもSonyの28位はSamsongの20位よりも低くてショックです。アメリカ人にはSonyよりもSamsungがクールだということになります。この事実は真摯に受け止める必要がありそうです。
新しいところではGoogleが38位にランクインし、iPodのヒットで完全復活したAppleの41位を上回っているのが興味深いですね。
同じサーチエンジン系では、Ebay55位とYahoo!58位が激戦です。Googleに水をあけられているのがちょっと気になりますが。
そうそう、Accentureも51位にランクイン。法人相手の商売でここまでブランド価値を高められる要因は何か、とても興味深いです。
アメリカだなぁと思うのは、規格化によって家具を安価に大量販売するスウェーデン系大手家具販売店のIKEAが42位で、ファッションブランドのGucci49位を上回っていること。確かにIKEAは私の周りでも大人気。アメリカでは質実剛健主義が根強いということでしょうか。
そういえば、もうすぐ日本でビジネスを始めるLexusや、こちらで見かけるAcuraが入ってないのがちょっと気になりますね。
韓国系ではSamusongの他に、Hyndaiが84位にランクイン。まだそれ程数は多くないですが、中国勢を含めて今後ますます目が離せなくなりそうです。
がんばれ日の丸企業。