SSブログ
ベンチャー一般 ブログトップ
- | 次の10件

シリコンバレーの交流会 [ベンチャー一般]

アジアへのベンチャー投資に関するセミナーにパネリストとして参加した。弁護士事務所主催の小さなセミナーだったが、それでもアジアの起業家を中心に50人以上集まり、熱心に耳を傾けていた。



セミナーの内容は、中国、インド、日本へのベンチャー投資についてVCの視点で意見を交わすようなもので、各地域の特徴や課題、米国起業家や米国投資家へのメッセージなどが次々と挙げられていった。



Ba シリコンバレーにいるとこの手の小規模なセミナーが日常茶飯事に行われ、多くの人がやってくる。みんな人に会うのが目的だから、国籍や性別を超えて初対面同士でも誰も臆することなくお互い自己紹介したり情報交換したりが勝手にあちこちで始まる。これがシリコンバレー流の社交もしくは情報交換の場なのだろう。



印象的なのはみんな一様に情熱的だということだ。みんな自分のビジネスをとても熱く語っている。こうしたところから人の輪が広がり、ビジネスに結びついていくのだろう。



中国人やインド人は多かったが、なぜか日本人はほとんど見当たらなかった。日本を話題にする人も残念ながら少ないようだ。もっと英語での情報発信が必要なのかも知れない。


日本企業と海外ベンチャーのM&A [ベンチャー一般]

海外のベンチャー企業を買収する日系企業の話をちらちらと聞くようになった。自社の成長を加速させるため、自社だけで製品開発や営業展開をするだけでなく、海外のベンチャー企業を買うことによってそれを手に入れようというものだ。日系企業は基本的には自前主義を取る会社が多く、自社で研究開発して事業を立ち上げることが競争力の源泉を作ってきたと理解しているが、技術も市場ニーズも複雑化・多様化するにおよび、自前主義にこだわらず他の血も受け入れて成長しようと転換してきているように思える。



でも、日系企業が海外企業を買うのは簡単ではない。骨の折れるデューディリジェンスや、やっかいな交渉をまとめなければならない。売り手と買い手が同じ日本人同士であれば、お互い「いい人」であることを前提にしており、ある程度の話を付けた後はお互いを信頼して細かいことには頓着しないですむと言うような文化があると思うが、海外の企業が相手だとそうはいかない。海外企業の株主は売買交渉に際して「いい人」であることはありえない。投資家としての利益を最大化するため(実際それが彼らの仕事だ)、あの手この手で売買価格を上げようと目論む。欧米陣を相手に売買交渉するのは、「いい人」でやってきた日本人にとっては並大抵のことではない。



売買の交渉がまとまったら、今度は買い取った会社を自社の事業に組み込む作業が残っている。言葉、習慣、意思決定方法、雇用形態などにおいて異質のものを取り込むのはこれまた容易ではない。多くの日系企業は同質であることを前提に社内の諸制度を作ってきたと思われるので、外国で働く従業員を雇用する仕組みを手探りで作らなければならない。



こうした数々の障害を乗り越えて海外企業の買収を推進する方々の苦労は計り知れないものがあるだろう。



しかしながら、中国やインドが台頭してくる激動の世界にあって日系企業が今後も繁栄を続けるためには、こうした海外企業の買収は重要な意味を持つプロセスだと考える。多くの企業がそうした経験を蓄積し、日本の中だけに留まることなく大きく世界に展開していくことを願ってやまない。その架け橋になりたいと思う。


最近の流行り [ベンチャー一般]

ベンチャー企業の動向には流行り廃りがあって、流行りそうなビジネスには数多くのベンチャーが集中するものだ。最近よく見かけるなぁというものを思いつくままに挙げると、



  • デスクトップサーチ(SoonR, Orb networks, Avvenu, GlooLabs,,,)
  • 旅行サイト(Viator, Homeaway, Luxury Link, Gusto,,,)
  • Online Personalization (ChoiceStream, Pageflakes.com, Netvibes,,,)
  • ビデオシェア(爆発的に伸びてます)
  • SaaS(ASPの時よりも回線が太くなったので立ち上がりやすいかも)
  • VoIPソフト(Skypeと大差なし、、、)
  • Security(いろいろ、、、)


この中で、あれっと思うのは「旅行サイト」が盛り上がっていること。この分野はExpediaで決まりと思っていたが、Expedia出身の人などがさまざまなニッチを見つけてビジネスを起こしているようだ。どれだけの規模になるか分からないが、そこそこのユーザを獲得できれば会社ごとExpediaが買ってくれるだろうということなのではないか。


無線LANアクセスの無料化プロジェクト [ベンチャー一般]

400億円の資金を集めて全米に無線LANアクセスのためのインフラを敷き、これをユーザーに無料開放するという気前のいいベンチャー企業が現れた



この企業はM2Z NetworksというシリコンバレーのMenlo Parkにあるスタートアップ企業だ。現在の資本金は1千万ドル(約11億円)くらいらしいが、この規模の会社が400億円の資金調達をしようというのには度肝を抜かれる。VC的に言えば、いったいどうやってそんな資金を集めるのか耳を疑いたくなる。さらにこのベンチャーのすごいところは、FCCに掛け合って、彼らのためだけに周波数帯を無料で15年間空けてくれるよう交渉しているところだ。日本ではSoftbankの孫社長のクラスでないとなかなか行政を動かしてやろうというところまではいきにくいと思うが、さすがはアメリカ、こういう壮大な計画を持ち出してくる人がいるようだ。アメリカでは、大きいことはいいことだ、ということなのだろう。



もっとも、似たような話はこのベンチャー企業だけにとどまらず、Googleやいくつもの携帯電話会社が進めているようで、今アメリカでホットな分野のようだ。Googleは他の企業3社とともにスペインのベンチャー企業、Fonに18百万ユーロ(約20億円)を出資したという。まぁこのくらいの金額ならばVC業界でもよくある金額なので驚くことはないが、今回の話は規模の点で他を圧倒している。



以前にも書いたがアメリカのブローバンドインフラは貧弱だ。僕のいるカリフォルニア州シリコンバレーでも、一般家庭での選択肢はADSLとCATVケーブルの2種類のみ、しかもADSLはPalo Altoの真ん中ですら100kbpsぐらいしか出ないしよく落ちる、CATVケーブルは$50/月ぐらいする、というように高コスト低パフォーマンスなのが実情だ。



M2Zのような無線アクセス企業が出てくることによってインフラの向上を期待したい。


Google創設者のLarry Pageを見た [ベンチャー一般]

2248526ラスベガスで開催された世界最大の民生品見本市「CES」で、Googleの創設者であるLarry Page氏のキーノート・スピーチを聞いてきた。





予定を30分繰り上げて始まったスピーチは、大ホールの座席チケットが早々に売り切れて立ち見が大勢出るくらい盛況で、今回のCESで最も注目されたプログラムだったようです。約1時間半に及んだプログラムの中でPage氏は新しいサービスの紹介を次々と繰り出し、数百人の聴衆を魅了しました。



講演の詳しい内容は専門のニュースサイトに譲るとして、僕は彼個人の講演に臨む態度に感動してしまった。



Googleといえば今やシリコンバレーで最も注目される企業の一つ。その影響力は大きく、Googleは次に何をするのか、人々の噂に上らない日はないでしょう。そんな会社の創設者なので、さぞ鼻っ柱が強くて自己主張の激しい人かと思いきや、とても穏やかな語り口を持つ御仁で、どちらかといえば人前で話すのに慣れてない様子で、終始聴衆に対して真摯に語りかけているように感じました。



中でも印象的だったのは質疑応答の場面。Page氏は講演の最後に質疑応答の時間を設けたのですが、次々に繰り出される質問(Googleに対してシニカルなものも少なくなかった)に対し、場が緊迫する場面ではすかさず同席した俳優のRobin Williams氏が持ち前のジョークでうまくやり過ごしてくれたが、それでもきちんとすべての質問者に対してきちんと受け答えしようという態度が現れていました。



こうしたやり取りを聞いているうちに、Googleはいろいろなもののあり方を変える破壊的イノベーターだと思うが、それをやっている当の本人達は「野心でギラギラした」輩とは対極にあって、どこか牧歌的というか「僕はこれがやりたいからやるんだ」とか「こうなったら便利だと思う」というような素朴な行動原理で動いているように感じた。そうしてやりたいこと、こんなことが出来ればいいと思うことをやっているうちに世界を変えてしまっている、そんな不思議な力を持ち合わせているように思った。何か新しい価値観を具現化しているように思うのである。



PS:Page氏が登場したときに乗っていた車(冒頭の写真)はロボットカーです。


日本発のワールドクラスベンチャー [ベンチャー一般]

日経新聞9月19日朝刊の「日本のIT、遅すぎた海外進出」の中に気になる記述があった。



...米ベンチャー誌「レッドへリング」が最新号で「アジアの未公開企業百社」を特集したが、日本企業は九社しかなかった。中国四十一社、インド十九社、韓国十社についで第四位」...



確かにアメリカのメディアでは連日中国やインドの話をよく目にするが、日系企業が話題になることはほとんどない。実際にどんな企業がランクインしているか、興味がある人は確かめて欲しい。少なくとも西側世界の視点ではこういう状態だという現状がお分かり頂けると思う。



Red Herring 100 Private Companies in Asia



日経新聞の同記事によると、日系企業のランクインが少ない理由を、日本のIT企業の多くは「内向き」で日本でしか通用しない分野の企業が多いからだと分析し、もっと世界に目を向けようと訴えている。日本のIPO市場に公開した企業の内訳を見ると日本国内だけで事業を行うサービス業やコンテンツ業が多いようで、世界レベルで活動している企業はあまり思い当たらないことを考えると、説得力のある記事だと思う。



では、日本の企業は本当に世界の中で競争力がないのだろうか?個人的には決してそんなことはないと思っている。



日本には世界最高水準の技術が多数ある。自動車、デジタル家電、ロボット、繊維、建設・土木、産業機械、造船、繊細な製造技術など、世界的な競争力を持つ企業をいくつも思い起こせる。そうした企業には優れたエンジニアが多数おり、貴重なノウハウがあるはずだ。



また、サービス業の分野でも日本のサービス業は世界最高水準の品質を持っているはずだ。サービス業は一見海外では通用しにくいように見えるが、それでもSECOM等、海外で成功しているサービス企業もあると聞く。ブックオフ等の純日本的な企業が海外進出しているというのも頼もしい話だ。



ベンチャーに携わるものとしては、是非この状況を変えて、世界的に見ても日本を強い国にしたいと思うのであるが、それにはどうしたらいいのだろうか?



①起業家マインド、②事業支援、③財務支援、の観点から見てみたい。



「起業家マインド」とは、起業する人の気概というような意味で使っているが、抽象的なので、単純に「起業数」と言い換えてもいいだろう。日本は起業が少ないのだろうか? 米国商務省、日本のVEC等を調べるとこうなっている。



  • 米国開業数: 572千社(2003年)
  • 日本開業数: 260千社(2004年)


アメリカと日本の人口比やGDP比がほぼ2:1であることを考えると、日本は決して開業数が少ないとは言えないのである。しかも2004年度の公開企業数(VC投資を受けた企業のみ)を見るとこうなるようだ。



  • 米国IPO数: 67社(2004年)
  • 日本IPO数: 172社(2004年、推定)


若干信頼性を欠く数字ではあるが、大雑把に言って日本はアメリカより圧倒的に公開しやすい環境であることがわかる。こうして見てくると、日本は決して企業マインドが低いとは言えず、むしろ世界的に見てもベンチャー企業にとって好環境であると言えそうだ。



では、なぜそんな日本から世界レベルの企業が出てこないのであろうか? 起業マインドというよりは、起業の中身の問題かも知れない。言葉の課題、地理的な課題、スコープの大きさと言った課題がありそうだ。それぞれ大きな課題だが、特に3つ目のスコープの大きさが関係してきそうだ。スコープの大きさとは、町レベルの企業を目指すか、国レベルか、世界レベルか、そういった戦う市場の大きさの意味で使っている。
欧米諸国では、30~100億円程の投資を行って世界レベルを目指す技術開発型のベンチャー企業が多い。別にお金をふんだんに使いなさいと言うつもりはないが、世界レベルを目指すにはある程度の軍資金が必要になるのも事実だろう。多額の軍資金を集めるに足る魅力的なビジネスプラン、経験豊富な経営陣、株主の支援がないと実現しない。そういう意味で、日本ではこれまで大きなスコープを持つ起業家なり、その起業家を支援する体制が弱かったのではないか?



では、スコープの大きさを広げるにはどうしたらいいか?



起業に成功した人達がさらに大きな成功を求めて、新たな起業家として再スタートしてくるのではないかと想像している。そういう人達の周りでは資金も集まり易いだろう。大きなスコープを実現し易い環境が出来てくる。逆説的だが、放っておいてもそういう方向に向かうのではなかろうか。



<続く>




グーグル・バブル [ベンチャー一般]

Googleの勢いは留まるところを知らないが、シリコンバレーでは最近「グーグル脅威論」をたびたび目にするようになった。



New York Timesの記事を紹介しよう。



Relax, Bill Gates; It's Google's Turn as the Villain



要点をまとめるとだいたいこんなところだ。



・グーグルは優秀な人材をかき集めてしまうので、他のスタートアップ企業に人材が行き渡らない。



・グーグルの強引な採用活動によりエンジニア給与水準が25~50%押し上げられてしまい、他のスタートアップ企業ではますます人材採用が難しくなった。



・グーグルが次々と事業領域を拡大するため、グーグルが将来競合企業になる可能性があるという理由でVCから資金調達できないスタートアップ企業が出てきた。グーグルは多くの場合、魅力的な機能を無料で開放してしまうため、他の企業はビジネスにならなくなってしまう。



ここまで目立つ存在になったグーグル、覇権はどこまで拡大するか、どのような形で転機が訪れるかが今の私の興味です。



そうそう、私もグーグルバブルのあおりを受けた一人です。
7月にシリコンバレーに赴任し、会社に近いPalo Alto, Moutain View, Sunnyvale辺りで住居を探したが良さそうなところがさっぱり見つからない。中でもMountain Viewの不動産屋は接客態度が非常に悪く、電話をかければ胡散臭そう、オフィスに出向けば土・日なのに休みだったりして、随分と苦い思いをさせられた。
そんな経緯でPalo Altoからは少しはずれたFoster Cityに住むことになったわけだが、後日噂で聞くところによるとGoogleの株式公開で大金持ち・小金持ちが大量に生まれ、彼らがシリコンバレー中の優良物件を物色し、1000人のGoogle社員がWaiting Listで物件待ちをしてるとか。真偽の程は定かではないが、ありそうな話ではある。Moutain View周辺の不動産屋が高飛車だったこのを思い出して、とても納得してしまうのである。


アメリカで注目されてるベンチャー? [ベンチャー一般]

VC業界で著名なRed Herring誌を読むといろいろなことが見えてきて面白い。



今日は同誌が今年5月に発表した"Top 100 Private Companies in North America"をまじまじと眺めてみた。



・アメリカらしく技術ベンチャーが大半を占める
・通信、ソフトウェア等、バブル崩壊を経て苦労してそうなセクターで生き残っている企業がランクインした感じ。技術の目新しさよりも大手企業からの受注など着実な事業実績が評価されている気がする。
・バイオ系でノミネートしている企業が少ない。Red Herring誌はバイオよりもIT贔屓ってことかも?
・中国やインド等のエマージング物が騒がれている割にほとんどランクインしていない。



うがった見方をすればRed Herring誌の選定基準に多少恣意的なものを感じなくもないが、でもきっとここにランクインした企業の中から将来さらに成功して本物になる会社が出てくるんでしょう。



さて、明日はどんなベンチャーに出会えることか。


- | 次の10件 ベンチャー一般 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。